2007年10月28日

テレビ離れとメディアの盛衰

変わるメディアの影響力

2006年、マスコミ四媒体広告といわれる、テレビ、新聞、雑誌、ラジオの広告費はそろって2年連続で前年実績を下回った。
その中でインターネット広告費は30%近く伸び、ラジオの広告費の2倍以上の3630億円になった。
インターネット広告の国内市場は、1996年16億円、1997年60億円、1998年114億円、2000年241億円、2001年735億円、2002年845億円、2003年1183億円、2004年1814億円、2005年2808億円と急激に伸びてきた。2004年にはラジオの広告費を超え、2006年には雑誌の広告費に近づいている。(参考 電通 日本の広告費)



メディアが多様化するにつれ、メディアの影響力が変わってきている。
インプレスの「インターネット白書2007」でも、ブロードバンド化の普及とテレビ離れが関連していると指摘されている。2005年に広告業界、テレビ業界で大変な反響を呼んだ、野村総研のレポート「企業の広告・宣伝手法は、マスメディアから個別対応のITメディアへ 」でもインターネットとテレビ離れの関連が指摘されていた。
前者では、テレビの視聴が減ったと答えた人の割合が、02年には22.3%だったが、04年は41.2%、05年38.9%、06年41.3%と高くなり、これがADSL、光回線の普及と比例していること、後者では、インターネットの利用時間が増えた人が64%、マスメディア4媒体の利用時間が減った人が増えた人の割合の2〜3倍に上ったと指摘し、今後のインターネットの高速化と情報量の増加によりインターネットの利用時間が増え、テレビとの接触時間や影響力まますます低下するだろうとしている。
誰でも1日は24時間で、小遣いを携帯電話につぎ込んだのでカラオケが衰退したと言われている。これと同じことがメディアでも起きはじめているのだ。

動画はテレビだけではない

動画は見られているが、TVだけで見るわけではなくなってきた。
米国のテレビ業界がYouTubeを注目しているのは、テレビが最もターゲットにしたい若者層を引きつけているからだ。そして彼らがYouTubeを見るためにテレビを見る時間を減らしていることにある。

Harris Interactiveの、18歳以上の2309人を対象にした調査によると、
  成人の42%がYouTubeでビデオを視聴し、14%は煩雑にサイトを訪れている。
  YouTubeのユーザの66%は、ほかのことを犠牲にしてYouTubeにアクセスしている。
 YuoTubeを訪れるようになった結果、
  他のサイトを見るのを減らしたのが36%、
  テレビを見る時間を減らしたが32%
と答え、さらに、
  メールのチェックやSNSへのアクセスを減らしたが20%、
  仕事や宿題を減らしたが19%、
  ゲームを減らしたが15%、
  DVD視聴を減らしたが12%、
  そのほか友人や家族と過ごす時間を減らしたが12%
という回答である。

テレビとテレビ広告業界が大きな問題として捉えているのは、テレビが一番広告の対象としたい
  18歳から24歳の男性の76%以上がYouTubeを見ていて、
  そのうちの41%が常連である
ということだ。

しかし、同時にこの調査では、YouTubeをよく利用するユーザの73%が、動画の前に広告が流されるようになれば、TouTubeを見る回数を、かなり減らす(31%)、多少減らす(42%)という回答をしている。
これはTouTubeにとっても頭の痛い問題になりそうである。

日本でも、好きなときに好きな動画を見られるオンデマンド型の YouTubeやニコニコ動画を見る時間が急速に増えている。年代によっては昨年の5倍以上にもなっているようだ。
さらにアクトビラのようなオンデマンドサービスが次々と増えている。

2007年10月27日

次世代ディスクは がんじ絡め?

ゲームとDVDと次世代ディスク

ビデオゲームは、ファイナルファンタジーのように、あたれば本数がでて本数がでれば儲かる仕組みだ。ゲームは映像を精緻にすればするほど容量が必要になるが、精緻=売り上げアップとなるわけではなく、面白くなければ売れないところがつらい。1本に3億ドルの制作費をかけても元をとるハリウッド映画まではいかないが、宣伝費だけで6億円などのゲームもある。制作費をつぎ込む構造やメディアという入れ物ではなく、コンテンツを売る商売だというところは映画業界と同じが、こちらは単品あたりの出荷本数が全然違う。
WiiはDVDだが、すでにプレイステーション3はブルーレイ・ディスクを、マイクロソフトはXbox 360にHD DVDを使っている。オープニングムービーに数億円をかけたゲームもあるが、最近は開発費用が膨らんでキツクなり見た目だけに費用をかけられないのがつらいようだ。
しかしゲームの容量は増える方向にある。ゲーム機には他社との互換性は必要なく、メディアのフォーマットは自社だけで決定できる。ゲームはプログラムだからゲーム機の仕様が変われば、使えないゲームが出てもかまわない。ユーザも欲しいのはコンテンツで入れ物にはこだわらない。しかもスケールメリットがあるからメディアを変えてもコストがそれほど変わるわけではない。
世代交代に合わせ DVDから次世代ディスクに流れるのは当然の成り行きだ。

HDDレコーダと次世代ディスク

動画やデータを保存するなら、メディアの容量は多いほうが好まれる。
ため込む動画の量が増え、今の5倍、10倍になれば次世代ディスクの出番になるだろう。
頭に浮かぶのは、HDDレコーダーの録画をビデオテープ代わりに再録画する用途だ。これなら規格はなんであれ、とにかく容量が大きければ録画が楽になる。
だが、地デジはコピーワンスが極めて評判が悪く、コピー9回+1にするかどうかもめている。
これを検討しているのは、総務大臣指定、電波有効利用促進センター/指定周波数変更対策機関の電波産業会の規格会議だが、私的録音録画補償金制度(著作権分科会私的録音録画小委員会/文部科学省)も絡んでいるし、いっそコピー禁止にすべきという意見もあれば、コピーしてくれなきゃ困るという意見もある。
困るのは規格会議がもたもたして仕様を決められないと、あとで決まる仕様次第で先に買った機器は使い物にならなくなることだ。役にたたなくなる機器を買うのは誰しも嫌であり、購買意欲をそぐ一因になっている。


HDDの大容量化が進み、HDDレコーダーは、1TBの容量を持つものもでている。
HDDレコーダーは、米国では録画しても見たら消す使い方、日本では録画を保存する使い方が主流だという。1TBの容量をいっぱいまで使えば地デジを100時間録画できるが、ここまで溜める人は稀だろうから、ある程度録画をためてからDVDに移す使い方が多くなる。保存のためならメディアの容量は大きい方がよいが、欲しいHDDレコーダの機能と利用できるディスクの種類が異なれば悩みがでる。悩んだあげく購入しないとなれば製品が売れない。しかも、ハズレの規格の次世代ディスクを選べば、後々再生できなくなる危険もある。せっかくためた映像を見るための機械がなくなっては何にもならない。悩んでぐずぐずしているうちに、リソースは手元なくてもいいと割り切る習慣の米国型になりはしないだろうか。

もたついているものがもう一つある

次世代ディスクは、AACSと呼ばれる著作権保護技術の対象になっている。
AACS(Advanced Access Content System)はコピーをさせない技術だけでなく、運用規定(Compliance Rules)の仕様も策定している。策定しているのは、ワーナーブラザーズ、ディズニー、松下電器産業、ソニー、東芝、Microsoft、Intel、IBMの8社が作った業界団体、AACSLA(Advanced Access Content System Licensing Administrator)だ。
注目すべきは、AACSの対象が次世代ディスクだけでなく、それ以外のメディアや記憶装置、デジタル放送やインターネットまでと広いことだ。その中に、例えばS-VHSやコンポジット端子、D端子などのアナログ端子向けに、DVDや次世代DVD、デジタル放送などの映像出力をつなげさせないというものがある。

2011年は、地上アナログ波のTV(SDTV)が止まり、地上デジタル放送(HDTV)に完全移行する年だが、AACSLAの策定によると、2011年1月1日以後に製造するプレーヤーやテレビなどの映像出力を持つすべての機器は、SDTV(今のアナログTV映像)向けの映像出力はかまわないが、HDTV(ハイビジョン映像)をアナログ端子向けに出してはいけない。さらに2014年以後は、どんな機器でもアナログ端子向けの映像出力を出してはいけないことになっている。参考


つまり、いまのテレビやビデオデッキにデジタル機器からの映像出力をつなげなくなるということだから、「ハイビジョンでなくてもいいや。アナログで取り出して、VHS/SVHSのビデオに保存しておこう」という方法が使えなくなる。
地デジテレビ、次世代ディスクプレーヤー、HDDレコーダーなどすべてのデジタル機器からの出力は、デジタル機器のみで録画するしかなくなるのだ。
もっとも、ACCSLAのCompliance Rulesの承認の話は、2005年の暮れに話題になったが、それ以後表に出てこない。密かに展開しているかそっぽを向かれてしまったか、気になるところである。

ACCSは「たとえアナログでも、コピーは絶対に許さん! 何が何でもコピーは封じるぞ」という姿勢だ。これと先のコピー制限がからむとややこしいことになる。
ユーザはいままで、テレビ番組をビデオテープやHDDレコーダーに自由に録画して再生し、ときにはコピーしてきた。
その行為が「だめだ。録画はだめ。コピーはもっとだめ!ぜったいだめ!」といって禁止されると、ずいぶん自由を奪われるように感じる。
5年ほど前、レコード会社の多くがコピー禁止のCCCD、レーベルゲートCDを導入したが、ユーザがそっぽを向いた結果多くの会社がCCCDの利用中止した。現在も続けているのは大手ではEMIミュージック・ジャパンビクターなど少数になっている。


理由が論理的で正しいものであっても、納得して受け入れるかどうかは心証が大きい。
しかし一方的な論理展開と押しつけのうえ、金儲けしたそうな顔ががチラチラ見えれば、意地が生まれるのは必至である。
それは忠臣蔵大石内蔵助の「意地でございます」の時代から変わらない。

2007年10月18日

温故知新 -- VHD vs レーザーディスク戦争

次世代メディアで映画はどうなる

映画やTVドラマ、アニメなどの、セル、レンタルの用途はどうだろう。
日本映像ソフト協会によれば、2007年上半期のビデオソフトの総売上は1483億5800万円。その99.7%がDVDビデオで販売用が65.5%、レンタル用が33.9%だという。販売向けは、1位が洋画、2位がアニメ、3位が邦画・邦楽の順。レンタル向けは、1位が洋画、2位がアニメ、3位は前年比2倍の伸びで邦画を抜いた海外TVドラマ。4位が邦画の順。販売のルートは、1位がレコード店、2位が家電ルートを抜いたインターネットルート、3位が家電ルート、4位がレンタル店ルートだそうだ。

これら映画DVDは、特典メニューがついたものでも8GB以下なので2層レイヤーのDVDに余裕で入る。なかには4.7GB以下のものさえある。メディアの容量上限からサイズを決めた内容と思うが、英語版、日本語版の字幕と音声、監督や出演者の解説がついてもサイズはこの程度である。

映画を借りて見るとき、それがBlu-ray でも HD DVDでも DVDでも入れ物はどうでもいい。映画が見られればいいのだ。
たしかに、大容量の次世代ディスクなら、本編のほかに特典映像をたっぷり入れるスペースができる。
だが、映画DVDを借りる/買うのは、映画自体に興味を持つからである。120分の映画を編集し直して125分の Unrated Editionという別編の映画を作れば買うファンがいる。買う理由は、最初のバージョンの特典映像33分が後者で145分になったことではないのだ。

しかし、すでに業界は動いている。セル販売の「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」を例にとると、DVD、Blu-ray Disc、HD DVDとも本編は約138分、Blu-ray Disc、HD DVD、3枚組DVDには約165分の特典が付いている。価格は 次世代ディスク 4,980円、DVDが1枚組(特典映像なし)2,980円、3枚組が 4,480円である。
本編と特典映像が同じでも、販売側の都合でメディアが変わると価格が変わる。もうしばらくしてDVDの販売が押さえらるようになれば、否応なくどちらかのプレーヤーを買うことを強要されることになる。いまのDVDとプレーヤーで十分満足できる映画が見られるのに、どうしてまた機器を買い換えなければならないんだという声がでるのは当然だ。
だがそんなゴタクを聞いてくれる耳はどこにもなく、DVDは売られなくなり、DVDプレーヤーも手に入らなくなるのだ。

しかも、Blu-Rayが収穫逓増に入れば、HD DVDは次第に姿を消し、ソフトは買えなくなりプレーヤーは役に立たなくなる。HD DVDが主流になれば逆の現象になる。
このような競争は、10年ほど前にもあった。VHDとレーザーディスクの争いだ。

VHDとレーザーディスク

VHDとレーザーディスクは1980年代初めに登場したビデオディスクである。
VHD陣営には、松下電器産業、日本ビクターをはじめ、東芝、日電HE、三菱、三洋、シャープ、ヤマハ、赤井、トリオ、アイワ、クラリオン、山水など15社以上の企業が集まっていたが、対するレーザーディスクはたった1社、パイオニアだけでスタートしたのである。
双方のディスクのコンテンツは、映画、アニメなど、現在のDVDと同じだったが、すべてセル販売でDVDのようなレンタル店での貸し出しは行われなかった。製品も、当時はまだ映画を自宅で見る習慣が根付いていなかったため、映画マニアのための嗜好品の意味合いが強かったといえる。

当初は両陣営のシェアに開きはなかったが、VHDの水平解像度240本に対してレーザーディスクの440本の水平解像度とマニアにとっては気になる画質の差や、レーザーディスク陣営がCD/LDコンパチブルプレイヤーを出したこと、カラオケにレーザーディスクが使われたことなどで、ユーザがレーザーディスクに流れるとともに企業もVHD陣営から次々と離脱し、最後には松下電器産業、日本ビクターまでもがレーザーディスクを発売する事態になった。
その結果、売れなかったとはいえ決して少くない数のVHDのユーザが、プレーヤを買いソフトを買いそろえていたが、VHD陣営の縮小とともにソフトは発売されなくなり、プレーヤが壊れても新しいプレーヤを入手することはできなくなって、次第に利用したくても利用できない状況になっていった。

そしてその後DVDの登場により、レーザーディスクも消えていった。
ワゴンセールでLPやEPレコードと一緒に並ぶレーザーディスク、VHDだが、レコードに手を伸ばすことはあっても、VHDやレーザーディスクはジャケットを見ることもなくホロ苦い気持ちになるだけである。

新しい技術によって新製品が生まれ新たな市場で利益を得るサイクルは、進歩がある限り繰り返される。「計画された陳腐化」は、経済活動の中に盛り込まれているのである。
しかし、意地の張り合いで統一が行われず、どちらかを選べと迫られて消え行く運命の製品を選んでしまった消費者は、運が悪かったとただ諦めるわけにはいかない。

2007年10月15日

オンラインになって消えるもの

技術革新で過去の遺物になるものは

電球、電灯の登場で、人類は有史以来使っていた炎による灯りと別れをつげた。 そのときまで使っていた灯油は、用途をかえエネルギーとして生き残ったが、ランプとランプ屋さんは表舞台から姿を消したのだ。
一方、電気の世界で商いをはじめた松下電器の創始者松下幸之助さんは、1918年ごろ電灯につける二股ソケットを売り出して事業を拡大したのである。

ランプはシンプルな道具だから芯を伸ばし灯油を入れさえすれば使えるが、ちょっと古くなると使えなくなるのがプレーヤー。蓄音機はプレーヤーの仲間でも簡単構造なので直し直しながらでもSPレコードを聴くことができたが、レーザーディスクやVHDはそうはいかない。大概トレイが引っかかり始め、「はい残念でした!」という感じで使えなくなって、せっかく集めた映画は一巻の終わりになる。

逆に機械は元気でも、メディアがなくなって使えなくなるものもある。ベータを駆逐したVHSだが時は残酷で、技術の進歩により次第に店頭から消えつつある。デジタルビデオカメラもテープからディスクにメディアが変わり、DVCの売り場も次第に小さくなっている。テープがなくなれば機械の使い道はなくなる。Zip DiskやPDなどすでに気に留める人もいないだろう。万物流転、盛者必衰なのである。

IT関係で気になるのが、Seagateが今年末までにIDE HDDの供給を止めSATAに専念するという話。SeagateはMaxtorでもあり、赤字の日立も追従するだろうから、めぼしいIDE HDDがなくなる可能性ができてた。2.5インチは対象ではないらしいが、これも時間の問題だろう。SATAが出たときいつかはこうなるとわかっていたが、動いているPCのための対策が必要になってきた。といってもとりあえず買い置きしかできない。

「ブルーレイディスク 対 HD DVD」の勝者は何を得る

祗園精舎の鐘の声が鳴ってもならなくても、争いが消えることはない。
これからの技術として話題の次世代ディスクは、ソニーや松下、日立、三菱、シャープ、Apple、DEll、サムスン、TDK、ディズニー、ユニバーサル、20世紀FOXなどの「光ディスクの最終形」ブルーレイディスク陣営と、東芝とNEC、三洋電機、マイクロソフト、インテル、太陽誘電、リコー、帝人化成、パラマウントなどの、「次世代ディスクのスタンダード」HD DVD陣営の間で火花が散っている。どっちつかず/いいとこ狙いのコウモリ陣営は、ワーナーブラザース、富士通、三菱化学など。さらに、NECはHD DVDの副会長で幹事会員だが、NECエレクトロニクスはBlu-ray Discにも名を連ね、光ピックアップを作っている会計監査で幹事会員の三洋も双方に名前があるというややこしさだ。

サイトから得られる情報は、圧倒的にHD DVDの方が多い。深い内容ではないが消費者がまず最初に知りたい使い方や仕様、何がどう変わるかが明確になっていて、見ていると使ってみたくなるような楽しさがある。
一方Blu-rayのサイトは、ディスクの種類や容量さえわからない。どこにどんな情報があるのかわからない。同じような内容のぼかした書き方ではっきりせず、例えば「入手可能な規格書」も名称だけで規格は書いてない。リンクがあるわけでもない。タイトルが日本語で内容は英語記述というチグハグなページまである。いったい誰に見せるためのサイトなのだろう。

次世代ディスクは、東芝とソニーの間で一時は共通規格が合意されたが結局うまくいかなかった。
このまま2つの規格が進むと、見たい映画のために両方の規格のプレーヤーを揃える必要がでてくる。しかし、1990年代後半に登場したDVDがレンタル屋さんからVHDを追い出しように、いまのDVDも次世代ディスクもいずれそうなる時がくるのだ。
利用者そっちのけの覇権争いが長引き、さらに混沌として需要が喚起されなければ、次次世代製品の登場とオーバーラップする可能性さえある。最近は買い控えが顕著になってきている。強いニーズを持ち暫定商品を買う人はどのくらいいるのだろう。

一方、無為な争いはディスクを作る製造企業にもしわ寄せがでる。
カセットテープ、ビデオテープ、CD、DVDなど、いままでのメディアはほとんど全部普及期前までしかうまみがなかった。開発が終わってしばらくの間は利益がでるが、普及期以降はコスト競走がはじまって稼げない商品になってしまう。いつまでたっても離陸できず、飛び上がったと思ったら在庫の山になるのではやりきれない。今回は、さらにディスク以外にも消費者の選択肢があるのだ。

映画の予告編はビデオオンデマンド

HD DVD Promotion Groupのサイトでは、ハリーポッターやバットマンビギンズ、ワイルドスピードx3が迫力満点。こういうのをオンデマンドでどんどん流してくれれば楽しめそうだ。

実際、映画の予告編はすでにオンデマンドで見ることができる。
例えばトランスフォーマー/Transformersの米国版予告編は2005年の12月からここにあった。封切り前の映画でも、ここのリストにある予告編はオンデマンドで見ることができる。
ボーン・アルティメイタム/The Bourne Ultimatumも米国公開前から3種類の予告編が掲載されている。そこには、普通の動画のほか、480p、720p、1080pの予告編もある。720p以上ならHDTVの規格だから、ハイビジョンのビデオオンデマンドである。
2分20秒ちょっとの ボーン・アルティメイタムだと、ファイルサイズは480pが49MB、720pが86MB、1080pが191MBである。難点は再生スピードにダウンロードがついてこないこと。FTTHを使っても、海を渡る通信回線と先様のサーバーの都合でどこかにボトルネックができればダウンロードのスピードが落ちてしまう。
しかしボトルネックがなくなれば、(たぶん)スイスイHD DVが見られるのだ。

栄華は一瞬、うたかたの夢

次世代ディスクが必要な理由はなんだろう。
一番は、企業が稼げる新商品としての役割だ。しかし、消費者サイドは、「おー、DVDの5(6)倍の容量だ。こっちは10(12)倍もある! 助かるなぁ」と喜ぶのだろうか。
いままでは、パソコンの進化にあわせて扱うデータが、テキスト、画像、動画とサイズが大きくなってきたから手持ちのデータを楽にしまえるメディアの大容量化は歓迎された。
で、動画より大きいデータは何だろう。

2007年10月4日

TV局の生き残り方

「アクトビラ」開始後の動きが鈍い


9月にスタートしたアクトビアだが、テイクオフにもたついているように見える。
Googleの「アクトビラ」の検索結果も9月初めには50万件を超えていたのに10月になったら14万件に減ってしまった。
表示されるリストも関係企業のサイト以外は、主に日経、インプレスだけ。既存のTV、新聞などのメディアからは無視というか封殺された感がある。 家電業界連合の起死回生イベントと思ったのにもう一つ盛り上がらないのは、マーケティングに問題があるのだろうか。それともTV業界と「そんなに急がずボチボチやりますから」などの裏約束でもあるのだろうか。

AppleがiPod/iTunesのPodCastを始めたとき、みんなが驚いたのはjobsが「デスパレートな妻たち」や「LOST」をアップロードさせたことだ。いまでは有名どころのドラマや映画はほとんどPodcastされ、連携しているネットワークも、ABC、CBS、NBC、CNN、FOXをはじめ、MTVまで何でもありだ。これなら通勤電車の中で最新ドラマやニュースをiPodで見る風景は当然のなりゆきといえる。当たり障りのない独自コンテンツや、価格の安いマイナーな映画だけでスタートしたらPodCastも今ごろは見向きもされなかっただろう。
1ヶ月過ぎたアクトビラのサイトで紹介されているコンテンツは 40本ほど。映画は2本しかない。

そうこうしているうちに、ダウンロードしてDVDに録画できる配信サービス「DVD Burning」をKDDIがスタートさせた。ここの布陣がすごい。ワーナー・ブラザース、IVC、ポニーキャニオン、ジェネオン、GDH、ホリプロ、吉本興業など約60社が参加し、2007年度末には5000本のコンテンツを用意するというもの。現在は、グラビアアイドル物、アニメ物、紀行物が多いが映画も250本以上ある。料金は「1作品500円から」でアクトビラと似ているが、マーケットもアクトビラと重なる。
新作がDVDになったら同時に配信もあるので、まさにオンライン・レンタル屋さん....手元にDVD-RWとして残るが....である。アダルト物は会員のみというのもレンタル屋さんのアダルトコーナーとイメージが似ている。
未発売作品や廃盤なども配信対象なので、街では手に入れにくいマイナーな映画も期待できそうだ。となれば、ロングテールを売り物にして全部取りになったAmazonやiTunesの DVDコンテンツ版というビジネスモデルだろうか。
さらに10月には、Yahoo! Japanが「CEATEC Japan 2006」で動画やニュースのテレビ向け情報配信サービス「Yahoo! Digital Home Engine」を出展した。

いずれにしろ最初にマーケットを確保したものが一人勝ちするのがこの業界の常だ。ハードウェア(TV)をベースにした地道な拡販と操作性の良さが功を奏すか、多少のスキルは必要だが「圧倒的な」を狙った一気の立ち上げが押さえるか、DVDコンテンツ・オンライン販売のシェア争いが、スタートの号砲と共に始まった感がある。

TV局も手をこまねいているわけではない。


インフラストラクチャが整ったことで、動画関係のサービスが実用に耐えるようになり、新しい動きが次々と生まれている。
しかし、TVのゴールデンタイムの総世帯視聴率は、これらのサービスの影響がでる前から、2001年12.5%、2004年12.1%、2007年11.6%と年々低下しているようだ。逆に、ゴールデンタイムにwebサイトを見る利用者の割合は上昇している。(日本広告主協会 Web広告研究会資料)

表立って騒ぎはしないが、もちろん年々減っていく視聴時間をただ黙って眺めているTV帝国ではない。
日本テレビは、2005年から「第2日本テレビ」を、TBSは「動画6.1チャンネル」を、テレビ朝日は「テレ朝bb」、フジ系列は、「fnn 動画ニュース」など、各キー局は次々と動画サイトを開いている。
もっとも、テレ朝bbはページを開けば自然に動画が流れるが、動画6.1チャンネルとfnn 動画ニュースは別窓でWindows Media Player が動き出す。第2日本テレビではブラウザが対応していないと見られない。CNNFOXのように、ストレスなく視聴できるのは今のところテレ朝bbだけのようだ。

しかしどの局にしろPCの画面に小さく表示されるだけで、あの巨大なTV画面にドーンと映し出される迫力はまるでない。
PC経由のDVDコンテンツはともかく、TV画面にニュースをVOD/HDスペックでオンライン配信できる能力があるのは、今時点でアクトビラだけだ。
地上デジタルはアナログ放送より難視聴地域が増えるため、地デジをオンラインで流す話がある。こうなればしめたもの。FTTHさえつながれば、リモコンにある「acTVila」ボタンを押すだけでアクトビラが映し出されるのだ。TVの電源を入れたとたん「アクトビラ・ニュース・チャンネル」が流れるようになったらどうする、TV帝国。デススターはないのか。