2007年10月27日

次世代ディスクは がんじ絡め?

ゲームとDVDと次世代ディスク

ビデオゲームは、ファイナルファンタジーのように、あたれば本数がでて本数がでれば儲かる仕組みだ。ゲームは映像を精緻にすればするほど容量が必要になるが、精緻=売り上げアップとなるわけではなく、面白くなければ売れないところがつらい。1本に3億ドルの制作費をかけても元をとるハリウッド映画まではいかないが、宣伝費だけで6億円などのゲームもある。制作費をつぎ込む構造やメディアという入れ物ではなく、コンテンツを売る商売だというところは映画業界と同じが、こちらは単品あたりの出荷本数が全然違う。
WiiはDVDだが、すでにプレイステーション3はブルーレイ・ディスクを、マイクロソフトはXbox 360にHD DVDを使っている。オープニングムービーに数億円をかけたゲームもあるが、最近は開発費用が膨らんでキツクなり見た目だけに費用をかけられないのがつらいようだ。
しかしゲームの容量は増える方向にある。ゲーム機には他社との互換性は必要なく、メディアのフォーマットは自社だけで決定できる。ゲームはプログラムだからゲーム機の仕様が変われば、使えないゲームが出てもかまわない。ユーザも欲しいのはコンテンツで入れ物にはこだわらない。しかもスケールメリットがあるからメディアを変えてもコストがそれほど変わるわけではない。
世代交代に合わせ DVDから次世代ディスクに流れるのは当然の成り行きだ。

HDDレコーダと次世代ディスク

動画やデータを保存するなら、メディアの容量は多いほうが好まれる。
ため込む動画の量が増え、今の5倍、10倍になれば次世代ディスクの出番になるだろう。
頭に浮かぶのは、HDDレコーダーの録画をビデオテープ代わりに再録画する用途だ。これなら規格はなんであれ、とにかく容量が大きければ録画が楽になる。
だが、地デジはコピーワンスが極めて評判が悪く、コピー9回+1にするかどうかもめている。
これを検討しているのは、総務大臣指定、電波有効利用促進センター/指定周波数変更対策機関の電波産業会の規格会議だが、私的録音録画補償金制度(著作権分科会私的録音録画小委員会/文部科学省)も絡んでいるし、いっそコピー禁止にすべきという意見もあれば、コピーしてくれなきゃ困るという意見もある。
困るのは規格会議がもたもたして仕様を決められないと、あとで決まる仕様次第で先に買った機器は使い物にならなくなることだ。役にたたなくなる機器を買うのは誰しも嫌であり、購買意欲をそぐ一因になっている。


HDDの大容量化が進み、HDDレコーダーは、1TBの容量を持つものもでている。
HDDレコーダーは、米国では録画しても見たら消す使い方、日本では録画を保存する使い方が主流だという。1TBの容量をいっぱいまで使えば地デジを100時間録画できるが、ここまで溜める人は稀だろうから、ある程度録画をためてからDVDに移す使い方が多くなる。保存のためならメディアの容量は大きい方がよいが、欲しいHDDレコーダの機能と利用できるディスクの種類が異なれば悩みがでる。悩んだあげく購入しないとなれば製品が売れない。しかも、ハズレの規格の次世代ディスクを選べば、後々再生できなくなる危険もある。せっかくためた映像を見るための機械がなくなっては何にもならない。悩んでぐずぐずしているうちに、リソースは手元なくてもいいと割り切る習慣の米国型になりはしないだろうか。

もたついているものがもう一つある

次世代ディスクは、AACSと呼ばれる著作権保護技術の対象になっている。
AACS(Advanced Access Content System)はコピーをさせない技術だけでなく、運用規定(Compliance Rules)の仕様も策定している。策定しているのは、ワーナーブラザーズ、ディズニー、松下電器産業、ソニー、東芝、Microsoft、Intel、IBMの8社が作った業界団体、AACSLA(Advanced Access Content System Licensing Administrator)だ。
注目すべきは、AACSの対象が次世代ディスクだけでなく、それ以外のメディアや記憶装置、デジタル放送やインターネットまでと広いことだ。その中に、例えばS-VHSやコンポジット端子、D端子などのアナログ端子向けに、DVDや次世代DVD、デジタル放送などの映像出力をつなげさせないというものがある。

2011年は、地上アナログ波のTV(SDTV)が止まり、地上デジタル放送(HDTV)に完全移行する年だが、AACSLAの策定によると、2011年1月1日以後に製造するプレーヤーやテレビなどの映像出力を持つすべての機器は、SDTV(今のアナログTV映像)向けの映像出力はかまわないが、HDTV(ハイビジョン映像)をアナログ端子向けに出してはいけない。さらに2014年以後は、どんな機器でもアナログ端子向けの映像出力を出してはいけないことになっている。参考


つまり、いまのテレビやビデオデッキにデジタル機器からの映像出力をつなげなくなるということだから、「ハイビジョンでなくてもいいや。アナログで取り出して、VHS/SVHSのビデオに保存しておこう」という方法が使えなくなる。
地デジテレビ、次世代ディスクプレーヤー、HDDレコーダーなどすべてのデジタル機器からの出力は、デジタル機器のみで録画するしかなくなるのだ。
もっとも、ACCSLAのCompliance Rulesの承認の話は、2005年の暮れに話題になったが、それ以後表に出てこない。密かに展開しているかそっぽを向かれてしまったか、気になるところである。

ACCSは「たとえアナログでも、コピーは絶対に許さん! 何が何でもコピーは封じるぞ」という姿勢だ。これと先のコピー制限がからむとややこしいことになる。
ユーザはいままで、テレビ番組をビデオテープやHDDレコーダーに自由に録画して再生し、ときにはコピーしてきた。
その行為が「だめだ。録画はだめ。コピーはもっとだめ!ぜったいだめ!」といって禁止されると、ずいぶん自由を奪われるように感じる。
5年ほど前、レコード会社の多くがコピー禁止のCCCD、レーベルゲートCDを導入したが、ユーザがそっぽを向いた結果多くの会社がCCCDの利用中止した。現在も続けているのは大手ではEMIミュージック・ジャパンビクターなど少数になっている。


理由が論理的で正しいものであっても、納得して受け入れるかどうかは心証が大きい。
しかし一方的な論理展開と押しつけのうえ、金儲けしたそうな顔ががチラチラ見えれば、意地が生まれるのは必至である。
それは忠臣蔵大石内蔵助の「意地でございます」の時代から変わらない。

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