2007年11月3日

テレビの暗黒面と2兆円の市場

テレビが信用できない

2007年1月、視聴率15%前後、ときには20%近くも取っていた「発掘!あるある大事典2」(フジテレビ/関西テレビ)の「納豆ダイエット」でねつ造疑惑が発覚した。

スクープした週刊朝日によると、ダイエット効果の発見者として番組に登場した「テンプル大アーサー・ショーツ教授」は存在せず、実際の研究はワシントン大学のシュワルツ教授のグループが行っていた。取材され番組に登場したシュワルツ教授だが、「そんなことはいっていない。やっていない」と日本語訳されたテロップの内容を否定。そもそもグループのポリアミンの研究は、65歳以上の人の腹部に関するものだが番組で示されるのは顔写真。しかも教授は番組に協力していない、写真も提供していないなど疑惑が相次ぎ、取材記者によると、3〜4日の取材で全部ばれるほどの情けないねつ造で、叩くとホコリがでるどころか、中身がなくてホコリだけの状態だったそうである。

当初、言い逃れでかわそうとした関西テレビだが、取材が進むにつれ「レタス快眠」、米国で大ブーム「味噌汁ダイエット」、「ワサビで10才若返る!」、レモンの「正月太り解消? 食べても太らない新理論」、二重あご解消の「10日間で変わる!顔ヤセの科学」、「小豆あんこで頭が活性化」などで次々疑惑が浮かびあがる。
そして最終的に「外部識者による調査委員会」から10件のねつ造と、6件の灰色番組が報告され、単独スポンサーだった民放で1,2を争う大スポンサーの花王は番組から降り、その後、関西テレビは日本民間放送連盟から除名処分となった。

しかし、テレビ業界の騒動はこれで終わらず、さらにつぎつぎと問題が報道される。
不二家報道では「みのもんたの朝ズバッ!」(TBS)が、元社員の事実と異なる発言を裏付けを取らず放送し、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会から問題を指摘され、さらに総務省から厳重注意を受けた。ついで情報番組「ピンポン!」(TBS)が、関東アマチュア選手権で試合中の石川遼選手の声を拾うためにマイクを付けようとしたり、同じ試合で「イブニング5」(TBS)がコース上空にヘリを試合中に無断で飛ばしたり問題が絶えなかった。

過去の「教えて!ウルトラ実験隊」(テレビ東京)のねつ造事件、みのもんたの「愛する二人 別れる二人」(フジ)のやらせ発覚による番組打ち切りなどは、業界の警鐘にはならなかったようだ。結局、不二家報道でTBSは不二家側への明確な謝罪をせず、他人は責めるが自分に甘いテレビ局の往生際の悪い体質を視聴者に露呈してしまった。

和歌山カレー事件、秋田小1殺害事件、朝青龍問題など、テレビ的に価値を見いだした事件を数週間以上にわたって連日報道する姿は、事件にたかって喰えるだけ食いつくし、次の事件が起きればそちらに大挙して飛びつくネットいなごのイメージが重なる。視聴率アップのためなら世間の常識など無視し傲慢に押し進めるその姿勢は、とにかく商品であるCM枠を売ろうというどん欲な姿である。
また、結論を先に持ち一方的な決めつけで煽り裁こうする報道は、見ていて気持ちの良いものではなく、繰り返される偏執ぶりは信頼性を疑わせ、テレビ自身の価値を自ら貶めることになっている。

テレビ局の稼ぎかた

テレビ局は、放送電波を確保し、放送設備を整え、放映する番組を用意することからビジネスを始めた。
黎明期は「シャボン玉ホリデー」、「夢で合いましょう」、「お笑い三人組」、「ジェスチャー」、「ごろんぼ波止場」などのバラエティー番組だけでなく、「事件記者」、「バス通り裏」などのドラマも生放送されていた。「てなもんや三度笠」、「とんま天狗」などのような公開生放送も結構多かった。「ジャガーの眼」、「少年ジェット」などの野外ロケ番組はフィルムで録画されたが画像は荒く、14インチ程度の白黒テレビで見ると現在の YuoTubeよりも不鮮明だった。しかし皆、新しい娯楽に眼を輝かして見入ったものだ。

新聞が紙面のスペースを広告に当てて販売するように、テレビ局は放映する番組の間に入れる広告の時間を売って収入を得ている。
小さな箱の中で動くテレビ番組は、人々の注目を集め流行を作り、番組が人目を引き話題になるにつれ、テレビによる宣伝は視聴者の購買行動に効果があると評判になった。しかし、時間は有限であるうえテレビCMを出そうという会社が増えてもテレビ局の数は増えず、需要と供給のバランスによりCM枠は売り手市場になり、テレビ業界はまたたく間に強固な帝国を築くことになった。
商品である広告枠は次第に高額になり、テレビ総広告費はこの20年で約2倍の2兆円を超えるに至っている。

平成19年度3月期の決算から、各社の売上高、経常利益を比較してみよう。

フジテレビはお台場事業、TBSは赤坂再開発の収入が含まれている。
  参照:フジテレビ日本テレビTBSテレビ朝日讀賣テレビ松下電器産業

番組制作に、テレビ局 -> 下請け -> 孫請けの構造があるとしても、製造業や一般のサービス業とは大きくプロフィットの形態が異なり、抜群の利益率を得ているのがテレビ業界といえる。そのテレビ業界に2兆円以上の金額をテレビ広告費として払い支えているのが広告主である。
日本の広告主はなかなか鷹揚で、人の良い大店の旦那衆のようなところがある。しかしコストパフォーマンスに厳しい米国の広告主の中に新しい広告の潮流が生まれはじめた。
トリガーとなっているのがインターネットである。

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