ボロボロの安倍内閣 --- 松岡農林水産相編
2007年は元旦から松岡農林水産相の秘書が、出資法違反容疑で福岡県警の家宅捜索を受けたエフ社の関連団体WBEFのNPO法人申請をめぐって、審査状況を内閣府に照会をしていたことが明らかになる。WBEFからパーティー券代100万円を受け取ったが政治資金報告書に記載していないことが発覚した2006年9月、松岡氏本人も事務所も「WBEFの関係者に接触したことはない」と説明していた。しかし1月5日、事務所がWBEFの依頼で内閣府に照会を行ったことを松岡氏自身が自ら認めた。さらに1月10日、松岡農林水産相の家賃無料の議員宿舎を事務所として、資金管理団体が年間約2500万〜3300万円を事務所費を計上していた疑惑がでる。
続いて伊吹文部科学相の二つの政治団体も事務所経費の付け替えなどの「不適切な会計処理」が発覚、さらに1月27日、柳沢厚生労働相が「女性は子どもを産む機械」と発言し安倍内閣は対応に追われた。
松岡松岡農林水産相の事務所費問題は3月になっても消えず「ナントカ還元水」などでくすぶり続ける。さらに4月には、農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」の林道整備をめぐる官製談合の渦中の企業や団体が、10年間にわたって松岡松岡農林水産相の資金管理団体に献金していたことが発覚する。
東京地検特捜部により「緑資源機構」の官製談合の捜査が進む5月28日、衆議院赤坂議員宿舎1102号室で、松岡利勝農林水産相は自殺した。
ボロボロの安倍内閣 --- 「宙に浮いた年金記録」編
4月3日、社保庁が「宙に浮いた年金記録5000万件」を認めた。消えた年金納付記録を昨年来追求し続けてきた民主党長妻昭議員の質問に応えたものである。しかしその後も、社保庁、厚生労働省とも問題の対応を明確にせず、国民の不安と怒りは一気に増大する。多くの国民が自分の年金の納入状況を社会保険事務所で確認しようとしたため、社保事務所は対応に追われつづけ、テレビ、新聞も連日を報道を続けた。
しかし安倍首相は年金問題の重大さを認識せず、対応は後手にまわり火消しに追われることになる。
ボロボロの安倍内閣 --- 久間防衛相編
参院選の一ヶ月前の6月30日。久間章生防衛相が「原爆投下はしょうがなかった」と発言する。久間防衛相は、2006年12月参議院外交防衛委員会での「私でも沖縄を最初に占領」発言をはじめ、1月には米政府のイラク戦について大統領の開戦判断が間違いと批判、4月の長崎市長銃撃事件の際は「補充立候補する公職選挙法を見直し」と「補充がきかないと共産党の市長が誕生する」と発言したがいずれも安倍首相は容認していた。しかし、長崎の参院自民候補小嶺陣営では、久間防衛相と握手しているポスターを大わらわではがす騒ぎになり、党内でも厳しい意見が相次いだ。三人目の閣僚交代を躊躇する安倍首相だったが、ついに押さえきれず久間防衛相の更迭を決める。久間防衛相更迭と小池百合子新防衛相誕生の手際の良さとスマートさは小泉前首相のシナリオである。ボロボロの安倍内閣 --- 赤城徳彦農水相編
この騒ぎがおさまらぬうちの7月7日、「政治とカネ」の松岡利勝農水相の後任の赤城徳彦農水相に、実家を後援会事務所にした事務所費問題が発覚する。しかし、だめ押しの「四人目の閣僚交代」を気にする安倍首相は更迭に踏み切れない。「法律にのっとって適切に報告している」などと容認する発言を繰り返し、「問題閣僚をかばっている」との批判を浴びる。さらに10日後の7月17日、赤城農水相は顔に大きな絆創膏を張って登場し、「大したことはありません」とかたくなに理由を述べず、疑惑をますます呼び寄せる結果となった。ついで参院選2日前の7月27日、最悪のタイミングで赤城農水相後援会の郵便代の二重計上が発覚し、選挙直前に自民党への不信は最高潮に達する。しかし安倍首相は何も行動を起こそうとしなかった。
全敗王子 --- 安倍晋三
「年金問題」と相次ぐ「政治とカネ」の逆風のなかの7月29日。参院選で自民党は歴史的惨敗をする。中川幹事長、青木参院議員会長は即日辞任するが、安倍首相は「再チャレンジ」の続投宣言をする。これに対し自民党の派閥領袖から、支持する声が相次いで出る。自民党に潰すに潰せない大赤字会社と同じ内情がうかがえる。しかし、31日午前の自民党総務会ではベテラン議員から公然と首相の責任を問う発言が相次ぎ、赤城農水相の辞任を要求される。初めからさして強力でなかった安倍首相の求心力は急激に消え始め、8月1日ついに安倍首相は赤城農水相を更迭した。
安倍内閣では、問題を起こした閣僚を官邸に呼んで注意しても官邸を無視するような行動が止まらない。外務省をコントロールできない田中眞紀子氏をすぐさま更迭し、田中氏が泣こうがわめこうが相手にしなかった小泉首相とは大違いで、「原爆投下しょうがない」で注意を受けた後「関係ない」と笑う久間防衛相、絆創膏を問い質されても「心配いりません」と繰り返すだけの赤城農水相など、緊張感のない、立ち往生常習の安倍内閣の足下をみすかした行動は、学級崩壊にも似ていた。
8月20日、「お友達」の塩崎官房長官が代表の自民党支部で、政治資金の私的流用を隠すため領収書を二重添付していたことが発覚する。これにより党内で批判の的だった塩崎官房長官が改造人事で閣内にとどまることは難しくなった。
そして内閣改造である。
インドなどの歴訪を終えて帰国した安倍首相は、25日夜から27日の内閣改造まで、改造人事と自民党役員人事のために与党幹部らと会わない意向を示した。しかしキングメーカーに執着する森元首相は党内実力者と密談を重ね人選を進める。一方、安倍首相が気にしたのは「脱小泉」「福田への流れ阻止」「反安倍連合の分断」と「政治とカネ」のスキャンダルだった。党役員人事は別として、閣僚候補の政治資金収支報告書を徹底的に調査し、安全が確認できた上での人事をすすめる。いきおい資金に困らず姑息な錬金術に頼らなくてすむ大物議員が選ばれることになった。そして8月27日、「着実に『美しい国づくり』に向けて政策実行する『政策実行内閣』」が誕生する。
第一次安倍内閣が「政治とカネ」で叩かれつづけ、「事務所費怖い」が染み付いた安倍首相は内閣改造後、政治とカネの問題について「閣僚は何か指摘されれば、説明をしてもらう。十分な説明ができなければ、去っていただく覚悟で閣僚になってもらう」と、打って変わる厳しい姿勢を見せる。
しかし、閣僚候補らの「身体検査」を万全にして臨んだはずの改造内閣でも、「政治とカネ」でつまずく。
内閣改造から1週間後の9月3日、補助金の不正請求が明らかになり遠藤武彦農水相が辞任。坂本由紀子外務政務官も関連政治団体の経費の多重計上で辞任する。身辺調査を十分に行ったはずの閣僚人事で安倍首相の危機管理能力の不手際がさらに印象づけられる出来事になった。
[「続く]
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