2008年2月25日

消すに消せない行政改革

次第にじり貧の理由は

日本の津々浦々まで伝わった大連立騒動も75日たって噂も消えた。噂は消えても福田内閣は進むわけだが、次第に前途が険しくなってきた。

発足時の福田内閣の支持率は、10月には44.1%、不支持は24.3%だった。11月の支持率は41.3%で不支持は31.3%、12月は支持40.1%、不支持34.2%。1月には34.5%、不支持率は39.8%、2月には32.5%、不支持率は43.2%になった。(すべて時事通信社)
2月の調査にはイージス艦の衝突事故の影響があるといわれるが、継続しての下落傾向はそれだけでは理由にならない。

イージス艦と漁船の衝突事故で、野党やテレビキャスターの「辞めることが事件の責任を取ること」という短絡的な思考が正しいものかどうかは明らかである。辞任を求める野党にたいして、「省の問題をよく知っている石破防衛相が、全責任を負って改革の先頭に立つことが必要」と辞める必要はないとした福田首相の立場が支持を下げたとは思えない。

改革を全面に出し圧倒的な支持率を保った小泉内閣を継ぎ、「私の内閣では..」を連発した安倍内閣は低迷を続け最後には自爆した。官邸メルマガに「公務員改革」「行政改革」を書いた安倍内閣だったが、渡辺喜美行革担当相の孤軍奮闘が目立つありさまで、本気で取り組む熱意は最後まで感じられなかった。

松岡元農水省の自殺との関係を取りざたされている官製談合の(独)緑資源機構は2007年12月に廃止になったが、ここは農水省の天下り先で理事には農水省OBが名を連ねていた。
2005年2月、林道を造るための費用対効果分析の計算データを林野庁が破棄していたことがわかった。これにより対象の林道がどのような理由で必要とされたかが明らかにできなくなり、担当者から「あの林道は作ると決まったんです。当時の計算では造ることでより大きな効果が出るとわかったのです」といわれても、それがどのような根拠だったか確かめることができなくなった。
長野オリンピックの招致問題でも、当時の会計記録が破棄された。インド洋の給油活動の航海日誌も破棄された。税法でも商法でも帳簿の保存期間が定めらているのに、「破棄」によって判断に必要な根拠を隠してしまうのは、行政担当者の自己保身のデフォルトになっているようにもみえる。

同じく2月、道路整備中期計画で建設を決めた2900kmのうち3分の2にあたる約1850kmが、国土開発幹線自動車道建設会議の審議を経ず建設できることが明らかになった。国道を高速道路の規格で着工し、完成後に高速道路に格上げする予定の道路も450kmあり、すでに一部は建設が始まっている。
国道なら国交省が誰を気にすることなく作れる道路である。完成後に高速道路に格上しても建設当時の名目が国道なら国道として作れる。もちろん財源は税金である。平成19年度の予算では、一般歳入57.5兆円、特別会計362兆円(純計額175兆円)で、道路特定財源が5.6兆円ある。使いにくくてガラガラの無用の長物と思われている国道の地下の駐車場を全国14カ所に作るために国土交通省が使ったのが道路特定財源である。(財)「駐車場整備推進機構」が作った駐車場を管理・運営するが、これが国交省の天下り先なのは周知の事実である。職員用のマッサージチェアやカラオケを買ったのも道路特定財源である。どうも道路特定財源は国交省の「打ち出の小槌」のようで、こんな便利なものを手放そうとしないのは当然だろう。

改革はどうなった

福田首相が提案して一斉に抵抗が現れた「消費者庁」がそれを端的に示している。
「消費者庁」は、中国ギョウザ事件で縦割り行政の弊害、連携の不備が指摘され「消費者重視」として打ち出されたものだが、経済産業省、農林水産省、厚生労働省はまるで「省の死活問題」だというようにピリピリしている。甘利経産相の現体制の擁護、若林農水相の食品行政の実績強調にもナワバリ確保の意思が現れている。両氏とも今は担当大臣でも、1年前には省庁代表する立場ではなかったはずだ。それが大臣になったとたんにその省庁を擁護する発言を行う姿が奇異にみえるのだ。本人が心からそう思っているのか、官僚に言わされているのか、福田首相はそれに対してどう考えているのか知りたいところである。

公明党の冬柴氏でさえ国土交通大臣になった途端、国交省の擁護の立場に変わったように、不思議さ、あやしさが大臣にはある。「大臣対応最初の最初」「いうことを聞かないときの Q and A」「サルでもわかる大臣の使い方」などという官僚のマル秘マニュアルがあるのだろうか。
冬柴国交相は、暫定税率を10年後廃止すると言い出したが、10年後にどうなっているかは誰もわからない。自分の責任期間外に問題を先送りするのはまさに役人的発想で、見事に国交省に取り込まれてしまった印象がますます強くなる。

小泉首相が劇的な支持を得たのは、霞ヶ関をはじめとする官僚の怪しい行動が日本の不利益になると国民が感じていて、小泉首相がそれをまとめて解決するために奔走すると思ったからではないのだろうか。郵政選挙はまさに、その象徴に見えた。
安倍首相もそれを引き継ごうとしたが、官僚の抵抗と小泉首相が押さえ込んだ抵抗勢力の復活により、公務員改革、行政改革は浮いた存在になった。抵抗勢力が結集して誕生させた福田政権にどのような改革ができるのだろう。実効ある国家公務員制度改革ができるのだろうか。

人は敏感なもので、はっきり面と向かっていわれなくても、態度や言葉の端々で相手の評価をすることができる。「この人はやる気があるのかないのか」「できるのかできないのか」それを敏感に感じ取っているのが内閣支持率だと思えてならない。

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2008年2月10日

番外ページ / 辞意表明関係記事

辞意表明会見

11日4日夕方、小沢代表は辞任表明の記者会見を開く。

  • 「朝日新聞、日経新聞などを除き、ほとんどの報道機関が政府・自民党の情報を垂れ流し、自ら世論操作の一翼を担っているとしか考えられない。私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを決定的にダウンさせることを意図した明白な誹謗(ひぼう)中傷報道だ」--小沢代表(産経)
  • 中傷報道に抗議する。党首会談に関する新聞、テレビ報道は、報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、強い憤りをもって抗議したい。--小沢代表(毎日)
  • 私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が連立を持ちかけたとか、果ては今回の連立構想について「小沢首謀説」なるものまでが公然と報道されています。いずれも全く事実無根です。--小沢代表(毎日)
  • 朝日新聞、日経新聞等を除きほとんどの報道機関が政府・自民党の報道を垂れ流し、世論操作の一翼を担っているとしか考えられません。--小沢代表(毎日)
  • それにより私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを徹底的にダウンさせることを意図した明白な誹謗(ひぼう)中傷報道で、強い憤りを感じる。--小沢代表(毎日)
  • 「特に3、4両日の報道は全く事実に反するものが目立つ」--小沢代表(毎日)
  • 私の方から会談を呼びかけたとか、私が連立を持ちかけたとか、果ては今回の連立構想について『小沢首謀説』なるものまでが、新聞、テレビで公然と報道されている」--小沢代表(毎日)
  • 「私には何の取材も取材の申し込みもありません。読売新聞の記事は『政府・与党』という表現だったかな? でも私の方には取材にきてないでしょ? 私の秘書なんかも全く取材を受けていない」--小沢代表/党本部の記者会見で読売記者に(産経)
  • 「まず先日申し上げたことでいえば、私は当事者の一方のはずですが、私には何の取材も、また取材の申し込みすらありませんでした。ですから読売新聞の記事は、政府与党と使っておったと、かのように関係者から聞いている。今、そういったかな?政府与党複数の関係者から」--小沢代表/党本部の記者会見で読売記者に(産経)
  • 「だけど、私ども、民主党のほうは含んでいないでしょ?私は一度も取材を受けたこともありませんし、私の秘書もまったく取材の申し込みも受けたことはないと、それはちょっと、公平ではないのではないかという意味で申し上げた。」--小沢代表/党本部の記者会見で読売記
    者に(産経)

辞意表明/慰留後---民主側記事


  • 「小沢さんは強いショックを受けた。辞意表明の引き金は、自分が指名した役員の造反だ」--西岡武夫参院議院運営委員長(毎日)
  • 「衆院選を小沢さんにやってもらうのがみんなの気持ちだ」--直嶋正行政調会長/4日午後(毎日)
  • 「昔なら、慰留など関係なく辞めるに違いない。彼のことが分からなくなったのは初めてかもしれない」--渡部恒三衆院議員/5日(産経)
  • 「期別懇談会が(小沢氏への不満が出て)炎上する恐れがある」--前原誠司副代表のグループの中心メンバー/6日(産経)
  • 「小沢代表は許せない。会見で選挙に勝てないと言った人間を大将にすることはあり得ない」--役員会メンバー/5日(朝日)
  • 「辞めると言っている人を何で引き留めないといけないのか」--菅グループの会合で/5日(読売)
  • 「連立入りが代表続投の条件になるのは絶対、駄目だ」--民主党幹部(毎日)
  • 「大連立を前提にして党内をまとめることは不可能」--鳩山幹事長/5日(朝日)
  • 「国民に責任を果たすためにも急いで結論を出さないといけない。小沢さんに代表にとどまって責任を果たしてもらうということだ」--岡田克也副代表/5日(朝日)
  • 「この前は言い過ぎちゃって反省している」--赤松広隆選対委員長/5日/役員会で大連立反対の口火を切ったことに(産経)
  • 「役員会で全会一致で慰留を確認したい」--民主党党幹部/5日(朝日)
  • 「われわれが熱意をもって復帰をお願いすれば、(小沢氏は)必ず戻って頂けると信じる」--山岡賢次国対委員長/4日NHK番組で(産経)
  • 「小沢氏に代わる突破力のある候補が見あたらない。代表交代のデメリットのほうが大きい」--民主党幹部(産経)

辞意表明/慰留後---自民党側記事


  • この混乱で民主党の
    支持率は10ポイントぐらい下がるはずだ。当然、衆院解散を迫る勢いもなくなるだろう」--自民党幹部(東京新聞)
  • 「小沢氏は民主党に残るのか、出るのか。出るとすれば、何人連れてくるのか」--公明党幹部(東京新聞)
  • 「誰が民主党から抜けて、どう取り込むかまで既に考えている」--自民党幹部(東京新聞)
  • -「小沢代表もね、やっぱり憂国の士としてああいう判断をされたんだろうと。しかし、それが受け入れられなかったというのは、とても残念だと、このようなことを伊吹幹事長、言っておられました」-福田首相/5日記者団に(日経)
  • 「やっぱり次の総選挙に勝てないと思ったのでしょう。菅さんや鳩山さんには次があるが、小沢さんには次しかない」--与党幹部/5日(朝日)
  • 「せっかくの敵失なのに、与党が足並みを乱れさせるのは得策ではない」--閣僚経験者/6日(産経)
  • 「何も不穏当な動きはありませんから…」--二階俊博総務会長/6日国会の廊下で公明党漆原良夫国対委員長に(産経)
  • 「事前に内容が表に出てしまうと話し合いもできないので、相手の立場もあり、みなさんに細やかにお話しできなかった」--福田首相/6日役員連絡会で(朝日)
  • 「自民党総裁と民主党代表が黙っていても幸せはない。膠着(こうちゃく)状態が続いていいのか。何かいい道を探さないといけないので、首相と小沢氏は阿吽(あうん)の呼吸で会った。2人とも立派だ」--森喜朗元首相/8日町村派総会で(産経)
  • 「なぜ小沢氏に涙を流させなくてはいけないんだ。38年間一生懸命やってきた小沢さんが謝る姿は見るに耐えなかった」--森喜朗元首相/8日町村派総会で(産経)
  • 「ねじれ国会は未知の領域であり、今までの常識が非常識で、非常識が常識だ。新しい時代の始まりだ」--中川秀直元幹事長/8日町村派総会で(産経)


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2008年2月2日

触らぬ「さる人」にたたりなし

主筆の呪文で、民主10のダメージ

11日4日夕方、小沢代表は辞任表明の記者会見を開く。
小沢代表は辞任の理由を「福田総理の求めによる2度の党首会談で、総理から要請のあった連立政権の樹立をめぐり政治的混乱が生じたことを受け、民主党内外に対するけじめとして民主党代表の職を辞することを決意し、本日、鳩山由紀夫幹事長に辞職願を提出し、執行部をはじめとして同僚議員の皆様に私の進退を委ねた」と切り出した。
そして、「特定の国の軍事作戦に日本は支援活動をしない」、「新テロ特措法案は連立できるなら成立にこだわらない」の2点を福田首相が確約したこと。参院選での民主党の公約が今のままでは実現できないこと。民主党はいまださまざまな面で力量が不足し政権担当能力に疑問をもたれている、政策協議を行いを司政に参加することで民主党の政権担当能力を示し、政権運営の実績を示すことが民主党政権実現への近道と考えていたことを明らかにする。

さらに、「党首会談に関しての新聞、テレビの報道が報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、私は強い憤りをもって厳重に抗議したい。特に11月3、4両日の報道は、まったく事実に反するものが目立つ。(中略)連立構想の小沢首謀説なるものまでが社会の公器を自称する新聞、テレビで公然と報道されている。いずれもまったくの事実無根だ」という、異例の「中傷報道に厳重に抗議する」コメントを発表し、「報道機関が政府・与党の宣伝機関と化したときの恐ろしさは、亡国の戦争へと突き進んだ昭和前半の歴史を見れば明らかだ。また自己の権力維持等のために、報道機関に対し、私や民主党に対する誹謗中傷の情報を流し続けている人たちは、良心に恥ずるべきところがないか、自分自身によくよく問うてみていただきたい。各種報道機関が1日も早く冷静で公正な報道に戻られるよう切望する。」と社会の公器である報道機関の暴走を批判する。

このコメントに対して、党首会談報道の記事数で他を圧倒した産經新聞が「足かけ20年「小沢時代」終わりの予感」、「『小沢時代』終わりの予感」のタイトルで「これでは、老獪な自民党の情報戦に負けるはずである。メディアを非難する前に、「なぜ大連立は失敗したのか」を深く反省しなければ、小沢氏の政治力は急速に衰えるだろう。」と乾正人政治部長が署名記事を載せる。続いて(政治的)死亡記事にも似た「『大胆かつ複雑』「成功と挫折」 小沢手法の軌跡」で、小沢代表の今までの歩みをとして報じ「これも「お国のため」の行動なのか、小沢氏の今後の動きが注目される」とまとめ、以後小沢代表の行動に疑問を投げかける記事を掲載する。「仲介人」渡辺主筆の読売は直接の論評を避けたが、後日「小沢氏は真実を語れ」と赤座弘一政治部長の「実に理解に苦しむ発言である。....」という署名記事で対抗する。
「中傷報道に抗議」に関する報道はいずれも単発で、「中傷報道」の内容について掘り下げる報道はなく霧散するように話題から消えた。フィクサーの暗躍については週刊誌的な記事のみとなり、朝日新聞11月10日社説「『大連立』仲介? 読売で真実を読みたい」、毎日新聞11月13日社説の「『党首会談工作』『さる人』の説明が聞きたい」、11月12日夕刊特集ワイド「前略−−渡辺恒雄様 「大連立」構想、生みの親ってうわさですが」で終幕となる。

朝日新聞11月10日社説「『大連立』仲介? 読売で真実を読みたい」要旨


  • 「さる人」から話を持ちかけられ、その人物の勧めで「代理人」と会い、党首会談が実現した。
  • 読売新聞を除く多くのメディアが、「さる人」とは読売新聞グループ本社会長で主筆の渡辺恒雄氏と報じている。
  • 首相と野党第1党の党首に、会談と「大連立」話を仲介したのは、報道機関のトップとして節度を越えている。
  • 8月16日付社説で読売新聞は「民主党も『政権責任』を分担せよ」と大連立を促した。
  • 新聞が政治の現況を論じ、進むべき道について信じるところを述べるのは言論機関として当然だ。
  • 政治家に会い意見を言うこともある。権力者に肉薄しふところに飛び込むのも取材手法だ。
  • だが目的は、主張を広め、事実を報道するためだ
  • 記者の主張の実現のために党首会談を働きかけたり、ひそかに舞台を整えるのは行きすぎだ。
  • 渡辺氏は以前新聞協会長を務めた日本の新聞界の重鎮だ。
  • 読売新聞1000万部の経営のみならず、社会への功績が評価され新聞協会から新聞文化賞を贈られた人物だ。
  • 敏腕の政治記者の経歴があり、中曽根元首相をはじめ政財界に幅広い人脈がある。
  • 渡辺氏の回顧録には、自らプレーヤーとして政治を動かしてきた経過がふんだんに書いてある。
  • 回想は政界裏話のおもしろさはあるが、取材対象と一体となり政治を動かす姿に違和感がある。
  • 事実を伝える記者が、裏では事実をつくる側に回っていては報道や論評の公正さが疑われる。
  • 政治記者が、政治家ら取材対象と一体になり似たようなことをしていると思われたら迷惑だ。
  • 読売新聞は、大連立を提案したのは小沢氏だったと大きく報じた。
  • 小沢代表が「事実無根」と抗議すると、政治部長の署名記事で「小沢氏は真実を語れ」と圧力をかけた。
  • 読売新聞が仲介者については報じないのはなぜか。
  • 真実に近い情報を握っているのは読売新聞だ。
  • 読者の知る権利に応えるために、読売新聞の真実の報道を期待する。

毎日新聞11月13日社説「『党首会談工作』『さる人』の説明が聞きたい」要旨


  • 大連立構想の真相は不透明だが国を治める権力の所在にかかわる重大問題だ。
  • 当事者の福田首相は当然のこと、「さる人」である仲介者も真実を語るべきだ。
  • 党首会談は、8月と10月の「さる人」からの接触、10月の代理人との接触ではじまった。
  • 読売新聞を除くほとんどのメディアが、読売新聞グループ本社の渡辺恒雄会長兼主筆が「さる人」だと報じている。
  • 渡辺氏が仲介をしたのなら、事実を紙面で明らかにすべきだ。
  • 8月16日付社説で読売新聞は「民主党も『政権責任』を分担せよ」と大連立を提唱した。
  • 党首会談後の11月5日付社説でも「小沢代表辞意 それでも大連立を目指すべきだ」を掲載した。
  • 社説で大連立を提言するのは一つの考えだ。
  • それを記者が政治家に説くことも、求められ助言をすることもありうる。
  • だが、新聞が権力者間の仲介役をかって出るのは、新聞の使命を超える。
  • 新聞が政治の権力づくりの当事者になれば、権力監視という重要な役割を果たせない。
  • 政治家のパイプ役になれば、報道の公正さを損なう。
  • 渡辺氏は業界の半世紀以上の功績で、今年度の「新聞文化賞」を日本新聞協会から受賞した。
  • 経営者としても政治記者としても評価ある人が、口をつぐんでいるのはおかしい。
  • 日本新聞協会の新聞倫理綱領には、「国民の『知る権利』は、あらゆる権力から独立したメディアが存在してはじめて保障される」「新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい」と書かれている。
  • その新聞倫理綱領を作った時の新聞協会会長が、渡辺氏ではないか。

毎日新聞11月12日夕刊特集ワイド「前略−−渡辺恒雄様 「大連立」構想、生みの親ってうわさですが」要旨


  • 党首会談の仕掛人「さる人」は、読売新聞主筆のナベツネさんともっぱらだけど。
  • 初夏の頃訪ねた、読売新聞東京本社7階主筆室の大先輩記者のナベツネさんは、旧制高校のインテリ青年の面影を残すテレ屋さんだった。
  • 参院選が近づき、安倍首相のことを不安を持ちながら「彼の政治感覚は鋭い」と気を使ってたよね。
  • インタビューの間にかかった電話に「そんなことしたら政治生命なくなるぞ!」とすごんだのは怖かった。
  • 党首会談の黒幕はナベツネさんみたいだけどホントはどうなの。
  • そういえば読売は8月16日付の社説で大連立やれって書いてたよね。
  • 新聞は談論風発がいいよね。
  • でも新聞記者ってなんなの?
  • 取材して、書いて、読んでもらってその繰り返しだよね。
  • ナベツネさんも記者でしょ。墓碑銘にするって中曽根康弘さんが書いた「終生一記者を貫く 渡辺恒雄之碑」っての見せてくれたよね。
  • でも、「さる人」になって「大連立」政権樹立を作ろうと動いてるよね。
  • なら、もう記者じゃなくて政治動かす権力者そのものになっちゃってことね。
  • せっかくの墓碑銘は「81歳2ヶ月まで記者を貫く 渡辺恒雄之碑」になるなぁ。
  • とびきりのスクープを取るときゃ権力者の懐に飛び込まなきゃならないのはアリだよね。
  • 政治家から聞かれりゃアドバイスもするよね。
  • でも、距離は保たないとね。知ってるとは思うけど。
  • 1億火の玉に突っ走ったホントの大政翼賛会とは違うだろうけど、鳩山幹事長が大連立を「大政翼賛会」と怒ったのはそれほどショックだったんだよね。
  • おまけに選挙で選ばれたわけでもない言論人が超巨大与党を作っちゃ、ぞっとするなぁ。
  • まさか「俺もあと2,3年だ」と考えて、「ここで一発決めとくか」って思ってるのかなぁ。
  • 最後の著書だっていう「君命も受けざる所あり」の帯の「権力と時流に動ぜず わが内なる声に従う」ってこのことだったの。

  • 申し込んだけど、受けてもらえなかった。勝手に書いたけど墓場まで真相持ってかないでね。

どうも「さる人」は昔から日本の政治に介入してきたようだ。
この介入がなかったら、日本はもっと悪くなっていたのだろうか。それとも良くなっていたのだろうか。
投票率が低いとはいえ、選挙で選んだ代議士が別なところの思惑、利害で動いていたのでは、民主政治とはいえない。
ひょっとして、政治に無関心になるよう柔らかめの記事を提供するのが、読売新聞の主たる目的だろうか。
そして、読売新聞政治記者の別名は「仲介屋」「政治屋」になるのだろうか。

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2008年1月26日

政権の味は蜜の味にたかるアリ

小沢代表は当初、党首会談を仲介した人物を明らかにしなかったが、仲介人として読売新聞の渡辺主筆、森元首相の名前が浮かび上がる。本人たちもまんざらではないのか、それを匂わす発言を繰り返すが、フィクサーのニュースが流れたのは半日程度。朝青龍や和歌山カレー事件、秋田小学生殺害事件で連日イナゴのようにたかり貪ったメディアは、一番の興味であるにもかかわらず大連立の仕掛人を話題にしない。「民主政治の危機」はあっというまに表舞台から消え去り、週刊誌でときどき揶揄的に報じられる程度になった。

フィクサーとその仲間の記事


  • 「会談で中選挙区制にも踏み込むぞ。今がまさに交渉がうまくいくかの瀬戸際だ」--渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長/2日夕竹下亘衆院議員のパーティーで(産経)
  • 「小沢代表辞意 それでも大連立を目指すべきだ」--11月5日付社説(読売)
  • 「福田さんが得点を挙げた。新テロ対策特別措置法案の審議も与党ペースでいき、成立することになる。(民主党は首相に対する)問責決議案は出せないだろう。衆院解散しないで法案成立させる状況ができた」--国民新党の亀井静香代表代行/4日フジテレビの番組(毎日)
  • 党首会談は小沢氏の方から持ちかけたもので、「大連立」構想も小沢氏の提案だった。--赤座弘一読売新聞政治部長/5日付署名記事(読売)
  • 連立政権の意義と合わせて真実を自ら語ることこそが、本当の意味での「けじめ」になるのではないか。--赤座弘一読売新聞政治部長/5日付署名記事(読売)
  • 両党首は連立政権の17閣僚の配分を自民党10、民主党6、公明党1とすることでも合意、「大連立」を前提に話し合いが行われていた。--11月5日付記事(読売)
  • 党首会談では、民主党に割り当てる閣僚ポストとして小沢氏の副総理、国土交通相、厚生労働相、農相が挙がったという。--11月5日付記事(読売)
  • 自民、民主両党間に設置する政策協議機関のメンバーに民間人も参加することが話し合われた。--11月5日付記事(読売)
  • 「小沢氏辞意撤回 民主党の未熟な体質が露呈した」--11月8日付社説(読売)
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  • 「知りませんねぇ」--渡辺会長/2日収録のTBS系番組「時事放談」で
  • 「政治家を動かすということを主筆はやっていいんですよ。それが天下を動かすジャーナリストの力」--中曽根康弘元首相/2日収録のTBS系番組「時事放談」で
  • 「でも待ってたらどうするんですか。この1ヶ月で法律が1本も通らない。下手すりゃこの状況が6年ないし9年続くんですよ。日本は完全に潰れますね」--渡辺会長/2日収録のTBS系番組「時事放談」で
  • 「(大連立は)早けりゃ早いほどいい。明日でもいいんですけど。年内にでも大連立政権を作ってですね、それで懸案を合理的に進めていく、と」--渡辺会長/2日収録のTBS系番組「時事放談」で
  • 「小沢さんはいささか裸の王様になっていた」--渡辺会長/6日カンヌ国際広告祭「メディアパーソン・オブ・ザ・イヤー」受賞を祝う会で(スポニチ)
  • 「(自らの考えに党幹部は皆従うと)自分を過信していたようだ。せっかく話がまとまっていながら、党に持ち帰ったら、一人も賛同者がいなかった」」--渡辺会長/6日カンヌ国際広告祭「メディアパーソン・オブ・ザ・イヤー」受賞を祝う会で(スポニチ)
  • 「きょうは政権の発表会になってしまった」と苦笑--渡辺会長/6日カンヌ国際広告祭「メディアパーソン・オブ・ザ・イヤー」受賞を祝う会で(スポニチ)
  • 「代表は4日の辞任表明会見で『連立構想について根拠のある報道を』と発言したが、どこの報道がどう間違っているのか。党首会談に至った経緯について、わが社の報道は複数の情報源から取材した根拠のあるものだ」--読売新聞記者/記者会見で小沢代表に(産経)
  • 「大連立はうまくいかなかった。小沢氏がなんとか民主党をまとめると思ったんだが…」--森喜朗元首相/7日夜衆院当選13回の同期会で綿貫民輔国民新党代表、渡部恒三前民主党最高顧問、羽田孜元首相と(産経)
  • 「今回の小沢氏は偉かった。辞任していたら民主党は割れていた」--渡部恒三前民主党最高顧問/7日夜衆院当選13回の同期会で森喜朗元首相綿貫民輔国民新党代表、羽田孜元首相と(産経)
  • 読売新聞は一連の報道で「大連立は小沢氏が持ちかけ」「党首会談で『小沢副総理』一度は合意、17閣僚の配分も」などと、他を圧倒するような突出した記事を掲載。---9日付記事(産経)
  • 小沢氏は4日の辞任会見でマスコミ批判を展開したが、「その矛先は、当事者なのに内幕をバラした読売」(民主党関係者)との見方もある。--9日付記事(産経)
  • 「小沢さんの方からのアプローチだ」--渡辺会長/12月22日放送の日本テレビの番組収録で(朝日)
  • 「首相は何度も小沢氏に“民主党は大丈夫か”と聞いていた。小沢氏は“大丈夫だ”と断言し、本当に大丈夫かなと思っていると、1、2時間たったらパーになった」--渡辺会長/12月22日放送の日本テレビの番組収録で小沢代表の対応として(スポニチ)
  • 連立を組んだ場合の各党の閣僚数の振り分けもすでに決めていたと説明、不発に終わったのは小沢氏に原因があったと指摘した。--渡辺会長/22日放送の日本テレビの番組収録で(朝日)
  • 「新聞記者の分際で話に介入して書かないのはけしからんという誹謗(ひぼう)中傷を浴びているが、これは書きます。私が全部ばらして書いたら、大変な迷惑をかける人がいるので、次の展開のために邪魔になる。だから私は今は何も書かない」--渡辺会長/12月5日中川昭一元政調会長のパーティーのあいさつで(毎日)
  • 「(小沢氏は)福田さんが持ちかけて渡辺が仲介したと言うが、それは逆だ」--渡辺会長/12月22日放送の日本テレビの番組収録で(朝日)
  • 「小沢代表は『福田首相が持ち掛け、渡辺が仲介して、どうかといって頭を下げた』と言っているが事実に反する」--渡辺会長/12月22日放送の日本テレビの番組収録で(産経)
  • 「小沢さんの方が危機感を持って『次の衆院選は厳しい。(衆参の)ねじれがずるずる行ったら国はおかしくなる』という認識に基づいて行動を起こそうとした」--渡辺会長/12月22日放送の日本テレビの番組収録で(朝日)
  • 「小沢さんは(党内で)裸の王様になっていた。自分が言えば、幹部会はただちに賛成と言うと思いこんでいた。これが、今度の大連立話を破壊した最大の原因だ」--渡辺会長/12月22日放送の日本テレビの番組収録で(朝日)
  • 「政策協議機関をつくり、テロ対策特別措置法、消費税、社会保障、年金の問題などを片づける」「小沢さんは無任所の副総理。閣僚数を(自民党)10対(民主党)6対(公明党)1で、6の中には国土交通相、厚生労働相、農水相は入れてくれということで話はついていた」--渡辺会長/12月22日放送の日本テレビの番組収録で大連立の条件について(朝日)

党首会談と連立についての記事


  • 「2カ月前に「さる人物」から呼び出されての食事の席で、自民党との大連立を勧められた。」--小沢代表/7日夕の記者会見で(時事通信社)
  • 「2カ月、正確な期日、調べればわかりますが、2カ月前後前だったと思います。さる人から呼び出しをいただき、食事を共にしながらお話をうかがいました。その内容は、もちろん、お国のため大連立を、というたぐいの話でありました」--小沢代表/党本部の記者会見(産経)
  • その人は「お国のためだ」と熱っぽく話したと思います。(これに対して私は、民主党は)参議院も勝って元気づいて、衆議院選挙に勝つという雰囲気だと言った。私どもは連立のうんぬんを言う立場ではないと言った。--小沢代表/党本部の記者会見(朝日)
  • 「そういうたぐいの話は政権を担っている人が判断する話で、わたしの方からとやかく言う話ではない」と応じた。--小沢代表/7日夕の記者会見で(時事通信社)
  • 同じ人物から先月中旬以降に再び連絡があり「首相もそうした(大連立したいという)考えだ。首相の代理の人と会ってほしい」と頼まれ、代理人との会談に臨んだ。--小沢代表/7日夕の記者会見で(時事通信社)
  • 「先月、半ば以降だったと思いますが、また連絡がありまして、福田総理もぜひそうしたいと、いう考えだと。ついては福田総理の代理の人と会ってくれと。いう話がありました」--小沢代表/党本部の記者会見(産経)
  • 総理の代理という方に。あんたも本気なのかと、いう質問をしましたら、おれも本気だと、いう話がありました。--小沢代表/党本部の記者会見(産経)
  • 「本当に首相はそんなことを考えているのか」と尋ねたところ、代理人は「首相もぜひ連立したいということだ。おれも本気だ」と答えた。--小沢代表/7日夕の記者会見で(時事通信社)
  • 総理がそういうお考えであるならば、どちらにしろ総理のほうから、直接お話を伺わなければ、というのが筋ではないでしょうかと返しました。--小沢代表/党本部の記者会見(産経)
  • 「そして、あの党首会談の申し入れとなったというのが、事実でございまして、それが誰であるとか、どこであったかとか、私の口からここで申し上げませんけれども、それが事実であり、経過であります」--小沢代表/党本部の記者会見(産経)
  • 仲介者について、小沢氏は「具体的な名前は言えない」としたが、小沢氏周辺によれば、仲介者は渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長で、首相の代理は森元首相とみられる。--(朝日)
  • 首相は29日午前10時すぎに自民党の大島理森国対委員長、午後1時に伊吹文明幹事長を首相官邸に呼び、会談を申し入れることを決断した。--(産経)
  • 「10月29日朝、官邸で指示を受けた。私が『今の時期でいいでしょうか』と申し上げると、『明日にでもやってほしい』という強い意志が示された。申し込めば応じるという強い確信もあったようだ」--大島理森両国対委員長/4日フジテレビ系報道番組に山岡賢次国対委員長と出演して(産経)
  • 「首相がそういう考えなら、直接話を伺うのが筋だ」--小沢代表/7日夕の記者会見で(時事通信社)
  • 「党首として国益を感じている。首相のそういう申し入れならば受ける」--小沢代表/29日山岡国対委員長が大島国対委員長から受けた話を聞き(産経)
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  • 「これはねえ、お互いにそういうような気持ちが多少でもないと、そういうことにはならんでしょうね。ということは、まあ、阿吽の呼吸と、こんな感じじゃないですかね」--福田首相/連立の話を持ちかけたのは(産経)
  • 「ま、これはまさに、あうんの呼吸ということだろうと思います」--町村信孝官房長官/どちらが連立構想を提案と聞かれ(産経)
  • 「あの限られた時間の中で閣僚ポストをうんぬんするような、時間的なゆとりがあったとはとても思えないと考えるのが常識ではないでしょうか。」--町村信孝官房長官/5日記者会見で[党首会談での閣僚ポストの配分について](産経)
  • 「会談そのものは、これは福田さんから、福田総理のほうから、それは大島国対委員長が山岡国対委員長に申し入れたんですから、それは自民党から民主党のほうに申し入れた。これは事実であります」」--町村信孝官房長官/5日記者会見で[党首会談を呼びかけたのは](産経)
  • 「まず個別政策協議、そして、できれば政策協議機関というものを作って政策協議をする。これは閣外協力という形になるんでしょうが、さらに進めば自社さとか、自自公のような閣内協力といったようなものも理論的には考えられると」--町村信孝官房長官/5日記者会見で[党首会談での閣僚ポストの配分について伊吹幹事長の会見発言を引用](産経)
  • 「最終的な閣内協力の姿を、まだ、どういう政策協議をどういうテーマでやるかということを議論する。その一番肝心な点をですね、まず第一歩ですね。議論することなしに閣僚ポストをどう配分するかなんて話をできようはずがないと、私はそう思います」--町村信孝官房長官/5日記者会見で[党首会談での閣僚ポストの配分について](産経)
  • 「首相は局面打開のためにいろいろ考えていた。小沢氏も同じだったと思う」と述べ、首相提案の意義を強調。--伊吹文明幹事長/2日記者会見で(スポーツ報知)
  • 「自民党の伊吹文明幹事長が記者会見で『連立は形の上ではこちらから話を出した、ということになっている』と言っていた。多分、実態はそういうことだ」--町村信孝官房長官/4日のNHK番組(日経/共同)

そして騒動は、民主党小沢代表の去就に進む。

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2008年1月20日

板子一枚 下地獄

党首会談で投じられた「大連立協議」は大きな波紋を引き起こす。
大連立協議の提案は、持ち帰ってもその場で断っても小沢代表の判断に賛否が分かれるものだった。それにより民主党の分裂、小沢代表の分派の可能性まで浮かび上がり、民主党内は蜂の巣をつついたような騒ぎになる。

「結果として、のめません」の後---民主党側記事


  • 「役員会は政策協議に入ること自体が反対だという人が多数だった」--小沢代表/2日夜(産経)
  • 「連立協議を受けたかったに違いない。政権の中に入って意思を通す。かつての自自公連立の時と同じ発想だ」--。小沢氏の側近議員/2日夜(毎日)
  • 「こんな裏表のある人が今の政治で通用するか、はなはだ疑問だ」--仙谷由人元政調会長(毎日)
  • 「自民党に比べれば混乱していない。自民党の情報操作だ」--鳩山由紀夫幹事長(スポニチ)
  • 「連立政権に加われば民主党はガタガタになる。加わらないとその波紋で小沢氏に批判が出る。『王手飛車取り』のような(与党の)戦略だ。民主党に打撃がなかったとは言えない」--鳩山由紀夫幹事長(毎日)
  • 「参院選で民意を得て、その公約を実現しようとしている最中に自民党との連立政権を組めば『野合だ』との世論の批判を受け、衆院選にマイナスとなる。小沢氏はなぜ、こんな話を党内に持ち帰ったのか」--民主党内(読売)
  • 「(大連立は)あり得ない。大政翼賛会になってしまう」--枝野幸男・元政調会長/2日夜(読売)
  • 「ぶれたとしたら党首としては失格」--枝野幸男元政調会長/連立を呼びかけたなら(朝日)
  • 「若干、批判的だ。(民主党は)政権交代を目指すと言ってきて、これで連立を組むとしたら、大義は何なのか。大義なき連立は国民の信を受けられないだろう」--笹森清前連合会長(読売)
  • 「連立に加われば民主はガタガタになり、けり飛ばしても小沢批判が出る。相手は王手飛車取りのような戦略だった」--鳩山由紀夫幹事長/3日 京都府京田辺市での講演で(日経)
  • 「民主党は司令塔がなくなった。一気にバラバラになるかもしれんな。だれが飛び出すかわからない不安定な状況になった」--民主党閣僚経験者/4日(朝日)
  • 「小沢代表が大連立を持ちかけた事実はない。代表がうそをつくはずがない。自民党の情報操作だ」--鳩山由紀夫幹事長/3日 京都府内の講演(毎日)
  • 「小沢代表を中心に結束を固め、無用の不平不満が党内から出ることを極力避けなければならない」--鳩山由紀夫幹事長/3日 京都府内で記者団に(毎日)
  • 「(大連立は)当然対等だという話は伝えたようだが、何(閣僚ポスト)をよこせという話をしたわけではない」--鳩山由紀夫幹事長/8日TBSの番組で(産経)
  • 「渡辺恒雄(読売新聞グループ本社会長)氏ではないかな」--鳩山由紀夫幹事長/8日TBSの番組で首脳会談の仕掛け人について(産経)
  • 「私は読売新聞の渡辺主筆(から話があった)」--鳩山由紀夫幹事長/8日TBSの番組で「仲介者」について(朝日)
  • 「8月に渡辺主筆を中心とした懇談会で、ご自身から持論を伺った。私は『大連立で仲良くなって、選挙で敵になって戦うのは難しい』と否定的な見解を申し上げた」--鳩山由紀夫幹事長/8日TBSの番組出演後(朝日)
  • 「小沢氏が経過を説明した以上、首相も、仲介したといわれている元首相も説明すべきだ」--菅直人代表代行/8日フジテレビの番組で(日経)
  • 「固有名詞は代表から聞いていないが、一般的にいわれているのは渡辺恒雄(読売新聞グループ本社会長)氏、森喜朗元首相が(党首会談を)お膳立てした」--菅直人代表代行/8日フジテレビの番組で(日経)
  • 鳩山氏も8月21日に渡辺氏と会談し、大連立構想や中選挙区制度の復活を提案されたが、拒否したことを明らかにした。--鳩山幹事長/8日都内で記者団に(毎日)

「結果として、のめません」の後---自民党側記事


  • 「民主党の誰を閣僚にするのかが肝心だ」と言うと、大島理森国対委員長は「それは参院からだ」と応じた。--伊吹文明幹事長/党首会談後の役員会で(スポニチ)
  • 「交渉に臨む限りは党内の合意の上に対応するのが一般常識ではないか」--伊吹文明幹事長/党首会談後の二時間後小沢氏が拒否すると(スポニチ)
  • 「答えがこんなに早く出るとは思わなかった。しかも、ノーという答えが。意外であり、かつ残念だ」--町村信孝官房長官/党首会談後の二時間後小沢氏が拒否すると(東京新聞)
  • 小沢氏が提案をいったん持ち帰ったことで民主党内で疑心暗鬼が顕在化する--自民党参院幹部(スポニチ)
  • 首相提案について「分からない話だ」と繰り返す。--自民幹部党首会談後(スポーツ報知)
  • 連立の条件などに関しては「伊吹氏もわからない。(首相と小沢氏が)2人で話をされた。意味について正確に申し上げようがない」--公明党北側一雄幹事長/3日伊吹幹事長から首相が小沢代表に連立参加を打診したとの説明を受け(日経)
  • 「(2人だけの会談で)真相はやぶの中だが、民主党の小沢一郎代表も(提案に)乗ってきた話。小沢氏の方から言い始めたという説もある」--山崎拓前副総裁/3日大阪市のあいさつで(日経)
  • 「国民にとっては何がなんだかもっとわからない話だろう。政治不信につながりかねない」--亀井善太郎衆院議員/2日夜(朝日)
  • 「政治は結果も大事だが、過程も大事。まず連立では、違うのではないか。国民も納得できないだろう」--亀井善太郎衆院議員2日夜(朝日)
  • 「年金など一部に限った連立ならわかるが、大連立なら理念なき野合だ。国民無視も極まった印象だ」--山内康一衆院議員2日夜(朝日)
  • 会談が終わった後、普段は冷静な首相が『小沢さんを信用しています』と非常に強い語気で話された。小沢氏への期待感がすべて含まれた姿だったと思う--大島理森国対委員長/4日フジテレビ系報道番組で(産経)
  • 「なぜ党に判断を持ち帰ったのかと批判されるが、小沢氏は代表に就任する際『民主党は変わる』と話していた。昔の小沢氏なら(会談の場で)ノーというだろう。ごく当たり前のプロセスを経ただけだ」--山岡賢次国対委員長/フジテレビ系報道番組に大島理森両国対委員長と出演して(産経)
  • 「企業合併に失敗した会社は、会社が割れるか、社長が辞任するしかないんだよね…」--加藤紘一元幹事長(産経)
  • 10月30日の最初の党首会談を持ちかけたのも小沢氏の側--(読売)
  • 「民主党は党首が党内で調整をしないまま他党との話し合いに出てきた」--伊吹文明幹事長/4日大阪市の演説(日経/共同)
  • 「自民党は公明党とよく話をして福田首相を送り出した。与党の中では不協和音はなかったが、民主党の多くの諸君は理解していなかった」--伊吹文明幹事長/大阪市の演説(日経/共同)
  • 「小沢氏は現状では駄目だと自覚して党首会談に臨んだ。民主党議員の多くはそのことを理解していない」--伊吹文明幹事長/4日午前大阪市での街頭演説で/ほめ殺し作戦(東京新聞)
  • 「小沢さんは憂国の情を理解してもらえず、がっかりされたんじゃないかな」--伊吹文明幹事長/4日(朝日)
  • 「小沢氏は立派だ。首相と小沢氏が三度、計三時間話し合ったのは貴重だ」--大島理森国対委員長/NHK番組で/ほめ殺し作戦(東京新聞)
  • 「最初に仲介したのは読売新聞グループ本社の渡辺恒雄会長兼主筆ではないか」--自民党関係者/7日「さる人」について(毎日)
  • 民主党の提案拒否を受け「これで首相の責任が問われることになる」--自民中堅議員/党首会談後(スポーツ報知)
  • 福田首相は『小沢一郎代表がもっと民主党内をまとめきっていると思っていた。この後、小沢氏がどうなるのか心配だ』と話していた」--武部勤元幹事長/7日若手議員との勉強会「新しい風」で(産経)

業界識者の発言記事


  • 「小沢氏が会談の場で拒否せず、党に持ち帰ったことの方が不思議」--有馬晴海/政治評論家(サンスポ)
  • 「首相から連立協議を打診され、自分だけで決めずに党に持ち帰ったわけだから問題はない。民主はまだまだ力不足。大連立で半分ぐらい大臣を取り、政権交代が可能な政党に成熟させるつもりだったはず。党に迷惑を掛けたから辞職したとしているが、自分のレベルにない党役員に対し『やってられない』というのが本音だろう」有馬晴海/政治評論家(産経)
  • 「“壊し屋”の面が出た。民主には大打撃で次は勝てないだろう。選挙後には小沢さんが自民と小連立を組むこともあり得る」有馬晴海/政治評論家(産経)
  • 「小沢代表が(提案を)持ちかえった理由は、その場で断るより与党に与えるダメージが大きくなると思ったからではないか。自民党内はかき混ぜられるし、何より公明との間がぎくしゃくすることになるだろう」--岩井奉信日大教授[政治学](産経)
  • 「実現したらとんでもない。政治家は小選挙区制により二大政党制を積極的に進め、選挙を通じて有権者に政権選択させるようにしてきたのに、この期に及んで『大連立』というのは国民軽視もはなはだしい」---森田実氏/政治評論家(産経)
  • 「国民に選挙を通した政権交代を約束しながら、大連立という密室での取引はいけない。小沢氏は『けじめ』と繰り返したが、国民がこの公約違反を厳しく批判していることには気づいていないのではないか。さらに、福田首相との約束も守れずに党首として醜態をさらし、党議を経ない独断専行が党内にいろいろな憶測や疑心暗鬼を生み出した。(党役員会が連立協議をのまなかったのは)事実上の不信任であり辞職は当然と考える」---森田実氏/政治評論家(産経)
  • 「小沢代表が(提案を)持ちかえった理由は、その場で断るより与党に与えるダメージが大きくなると思ったからではないか。自民党内はかき混ぜられるし、何より公明との間がぎくしゃくすることになるだろう」--岩井奉信/日大教授 政治学(産経)
  • 「今の自民党では解散しても勝ち目がない。相手が小沢さんではだましもごまかしもきかず、政権運営に行き詰まった福田首相は「いっそのみ込んでしまえ」と一か八かの賭けに出たのだろう。夏の参院選に勝ち、次の総選挙で政権奪取を狙う小沢さんが提案をけったのは当然であり、国民の選択肢を確保する上でも大連立は取るべき道ではない。ただ、自民党が解散を先延ばしすれば民主党も失速しかねない。福田、小沢両氏の我慢比べはしばらく続くのではないか」--岩井奉信/日大法学部教授 政治学(毎日)
  • 「今回の小沢代表の動きは不可解。小選挙区制・二大政党制なのだから、衆参院のねじれで膠着(こうちゃく)状態になれば、総選挙で野党が政権交代を目指すのが筋だ。普通、大連立は、第3党がキャスチングボートを握るのを嫌い第1党と第2党が組むものだが、今回の大連立はそうとは思えず、よく考えた上での動きとは思えない」---橋爪大三郎/東工大教授 社会学(朝日)
  • 「民主党は政権担当能力を証明するために堂々と国会で論戦を続けていくべきだった。総選挙で負けたとしても、負けっぷりがよければその次にチャンスがあったはずだ。小沢代表の行動は、日本の政党政治はまだ未熟だという印象を国民に与えたのではないか」---橋爪大三郎/東工大教授 社会学(朝日)
  • 「大連立は、民主の公約が結果的に実現できればよかったかもしれないが、そうでなければ野合。だから反対した執行部の考え方も納得できる。だが、有権者にとっては、こういう形でぐらついている野党第一党の姿を見せつけられると幻滅させられる。発展途上、まだ若いという印象を持たざるを得ない。野党第一党がこんなダメージを受けたまま、総選挙を迎えることは、国にとっても有権者にとっても、いいことは何もない。笑っているのは自民だけだ」--高村薫/作家(産経)
  • 「2大政党のトップ同士が密室で大連立を話し合うこと自体、本来あってはならないこと。福田康夫首相は今月予定されるブッシュ米大統領との会談前に、ここまでやったとアリバイを作りたかったのだろう。小沢一郎代表は福田首相のメンツを考え打診を持ち帰ったのでは。連立をけったことで国民の理解を得られるし、福田首相と長時間話し合ったことで首相がどこまで困っているのか、腹の内も探れたはず。解散に向けて今後の政治スケジュールも読みやすくなる。小沢代表の優勢勝ちだろう」--浅川博忠/政治評論家(毎日)
  • 「浮かんでは消え、消えては浮かぶ必然的な流れで、今回は早過ぎた話で大きな波紋を広げたが、第1ラウンドではないだろうか」--岸井成格(毎日)

民主党内の騒ぎを余裕を持って見る自民党だが、この騒ぎにより政界のルールは「なんでもあり」に書き変わってしまった。17人の集団で参議院の政局が変わるように、30人の集団で衆議院を変られることまで思いが巡っていない。

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2008年1月14日

密室の党首会談の詳細

民主の混乱と大変化の予感

しだいに党首会談の様子が明らかになる。
会談を行った当事者は福田首相と小沢代表の2名だけだが、周辺からリークが始まる。もちろんすべてが事実とはいえず、憶測や目的のための意図的な情報も入っている。

会談前の様子についての記事


  • 「もし、民主党がオーケーの返事を出したら、政策協議機関を設置して滞っている政策を中心に実行する」--福田首相/30日の会談後伊吹文明幹事長に(東京新聞)
  • 「もし大連立との話がきたら、民主党の首相でなければ受けられない」--菅代表代行と鳩山由紀夫幹事長/党首会談の休憩の間に小沢氏にくぎを刺す。(スポニチ)
  • 「離党だ」。--前原誠司副代表、枝野幸男、仙谷由人両元政調会長/30日の党首会談の後に集まり「大連立受諾」の場合の対応を協議し(スポニチ)
  • 「ひょっとすると大連立の話が出るかもしれない。簡単に引き受けてはいけないが(受けるなら)首相を取るべきだ」--菅代表代行と鳩山由紀夫幹事長/党首会談の休憩の間に(毎日)
  • 「今日の党首会談で憲法改正、中選挙区制、恒久法の3つが合意に向け大きく動く。完全な公明外しだ」との情報を流布。支持母体の創価学会までも「悪魔のシナリオだ」--公明党有力幹部/(産経)

2日の会談内容


  • 首相は参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」の打開が必要として、小沢氏に連立政権樹立のための協議を打診した。(毎日)
  • 新テロ対策特別措置法案への理解を求める福田首相に対し、小沢代表は従来通り反対の姿勢を表明。(産経)
  • 「『派遣は国連決議に基づくものだけに限る』と決めて欲しい」と求めた。--小沢代表/(読売)
  • 諄々(じゅんじゅん)と新テロ対策特別措置法案の意義、日米同盟の重要性を説いた。--福田首相(毎日)
  • 小沢代表が自衛隊海外派遣に向けた恒久法制定を持ちかけると、福田首相は熱心に聞き入る。難解な「小沢理論」のため、会談中にもかかわらず、あちこちに電話で問い合わせをする。(産経)
  • 「自衛隊派遣には原理原則が必要だ」と主張--小沢代表/首相の新テロ対策特別措置法案への協力要請に対し(読売)
  • 恒久法について、国連決議を前提にしなければ自衛隊派遣ができないという考え方をメモに書いて首相に渡した。--小沢代表(毎日)
  • 「国連決議だけの有無でいいのですか。相談させてほしい」--福田首相/(毎日)
  • 内容の検討は、「内閣法制局に頼らない方がいい」などとも注文。--小沢代表/(読売)
  • 「これでいいですよ」--福田首相/恒久法に関する国連決議原則について(毎日)
  • 「じゃあ、これで(民主)党内を説得しますから」---小沢代表/恒久法に関して(毎日)

  • 会談開始から1時間2分後、福田首相が中断を申し入れる。(産経)
  • 「与党が納得するかどうか確認したい」--福田首相/休憩を取るために(読売)
  • 首相の表情には何としても合意を取り付けたいとの強い意志がにじみ出ていた。(産経)
  • 「決めてきます」--小沢代表/打診を受け常任委員長室を出る前(毎日)
  • 「それさえ決めてくれれば、連立したい」と述べ、連立政権への参加を持ち出す。--小沢代表/休憩直前に(読売)
  • 連立参加は、首相の方から要請した形とすることも小沢氏は求めた。--(読売)
  • 「これで決める。(連立参加で)私が党内をまとめます」と明言---小沢代表(読売)
  • 「大丈夫ですか」--福田首相(読売)
  • 「絶対にまとめます」と重ねて強調。--小沢代表(読売)
  • 「連立協議をするなら、国会を閉じなくてはいけない」--小沢代表(毎日)
  • 「決めてきます」--小沢代表/連立政権提案を持ち帰る際(毎日)
  • 「首相は『個別テーマを話し合い、その先で連立を考えたらどうか』と言ったが、小沢氏は『まず連立を組まないと党内がもたない』と強く主張した」--自民党幹部/5日(朝日)
  • 「首相は『連立ができるなら新テロ対策特別措置法案成立にあえてこだわらない』と述べた」--小沢代表/記者会見で(読売)
  • 「首相は2日の党首会談で『できれば成立させて欲しいが、連立政権ができるならこだわらない』と語った」--小沢代表/記者会見で給油新法について(日経)
  • 「連立で党内を抑えられますか?」と福田首相--渡辺会長/6日の都内パーティーで(スポニチ)
  • 「抑えてみせます」と小沢代表--渡辺会長/6日の都内パーティーで(スポニチ)

  • 連立政権ができた場合、民主党に振り分けられる財務相など数々のポスト名までが飛び交った。--(毎日)
  • 「最終的に政策協定を行い、そのうえで閣内に入る入らないという話が出てくる。手順だけはしっかり踏んで進めていきたいと(小沢氏に)申し上げていた」--福田首相/日午前の自民党役員連絡会で大連立構想について(毎日)
  • 「政策協議機関をつくり、テロ対策特別措置法、消費税、社会保障、年金の問題などを片づける」--渡辺会長/12月22日放送の日本テレビの番組収録で(朝日)
  • 「小沢さんは無任所の副総理。閣僚数を(自民党)10対(民主党)6対(公明党)1で、6の中には国土交通相、厚生労働相、農水相は入れてくれということで話はついていた」--渡辺会長/12月22日放送の日本テレビの番組収録で(朝日)
  • 「自民党10、民主党6、公明党1」--渡辺会長/12月22日放送の日本テレビの番組収録で合意した閣僚配分について(朝日)
  • 「6の中には国土交通相、厚生労働相、農相の3つは入れてくれ。自分は無任所の副総理で」--渡辺会長/12月22日放送の日本テレビの番組収録で小沢代表の要請として(朝日)
  • 「(大連立は)当然対等だという話は伝えたようだが、何(閣僚ポスト)をよこせという話をしたわけではない」-鳩山由紀夫幹事長/8日TBSの番組で小沢氏から直接説明を受けたと(産経)
  • 「(党首会談に)入ってない人の話をいろいろ問われても困る。いずれにしてもそのようなことではないということだけは、申し上げておきたい」--小沢代表/「渡辺氏が大連立は小沢氏が持ちかけたと話している」と聞かれ(朝日)

再会談後の民主党役員会


  • 「首相から連立の申し入れがあった。協議に入れば農業政策など参院選の公約が実現できる。みんなの意見が聞きたい」--小沢代表(毎日)
  • 「民主党として、最終的にどう決断していくのか、週明けに両院議員総会を開き、皆で決めたい」--小沢代表/(読売)
  • 「政策協議をしていけば、参院選で掲げた公約を実現できる。ただし、本当の意味での政権交代ではない。国民がどう見るかも分からない」--小沢代表(東京新聞)
  • 「大連立という流れの中に、政策協議がある」--小沢代表/(読売)
  • 「(大連立は)あり得ない。大政翼賛会になってしまう」--民主党 枝野幸男元政調会長(読売)
  • 「政権に入ることが目的なのではない。政権交代が目標だ」「大政翼賛会的で国民の反発を招く」--役員/民主党役員会(東京新聞)
  • 「誠意あるご対応を頂きましたけど、結果としては(連立は)できませんと福田総理にお伝えしました」」--小沢代表/報道陣の取材に(毎日)
  • 「誠意ある対応をしていただきましたが、結果として、のめません」--小沢代表/民主党本部八階の代表室で福田首相に電話(東京新聞)

フィクサーと仲間の援護射撃

11月3日。前日の民主党役員会の反対で大連立はついえたが、読売新聞は「党首会談 政策実現へ『大連立』に踏み出せ」と社説で激を飛ばす。
社説の骨子は以下である。
  ・国会で法案が1本も通っていない。
  ・国益や国民生活のための政治責任が果たされていない。
  ・次回衆院選で与党が勝ってもねじれ現象は解決しない。
    ねじれ現象は長ければ10年は続く。
  ・福田首相が提起した大連立は安定して政策を進めるシステムだ。
  ・小沢代表も政治の現状に危機感があるから党首会談に応じた。
  ・参院選勝利の勢いで民主がめざす政権交代は対立を増やし不毛を生む。
  ・責任政党なら大連立を考えろ。
  ・小選挙制度がネックと考えるのはおかしい。
    政党同士が国益や国民生活の問題を総選挙で問えばよい。
  ・給油活動の早期再開が試金石だ。
    恒久法制定も重要だ。

同日。自民党の加藤紘一元幹事長は都内での講演で、福田首相が提案した連立協議にふれ、次期衆院選の前後に政界再編の可能性があり今後も連立協議は続く状況にあるが、小選挙区制での政界再編は難しいことから、大連立のためには中選挙区制への復帰を検討すべきと強調した。増田寛也総務相も鹿児島県で、選挙制度が変わらないと大連立は難しいのではないかとは記者団に述べた。

自民党と民主党の大連立となれば、衆参両院で9割を超す議席を占める巨大与党の誕生になる。しかし小選挙区比例代表制のもとでは、両党が小選挙区で候補者を一本化することは難しい。衆議院の郵政選挙では、岐阜1区の野田聖子元郵政相と自民党公認の「刺客」佐藤ゆかり衆院議員の戦い、静岡7区で自民党県連の推薦を受けたが公認を得られなかった城内実前衆院議員と片山さつき氏の戦いなどは記憶に新しい。候補者調整に両党内で強い反発が出るのは当然で、選挙で争うことになれば協力関係を維持することは難しい。

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2008年1月6日

大連立を読み解く

福田首相は正直者

10月31日午後。福田康夫首相は首相官邸で記者団に自民、民主両党の大連立構想について聞かれ、「頭の中では何でもできるが、現実社会の問題としてはどうか。考えるのは自由だが、実行可能なものを考えてもらわないといけない」と述べる。さらに「党首会談で大連立構想の話をしたか」との質問に、「そこまではいたっていない」と答えた。

しかし政界は「大連立」と「早期解散」の話題で騒然となる。
福田首相と小沢代表の党首会談の仲介者が、読売新聞会長の渡辺恒雄主筆だったことが漏れはじめたからだ。渡辺会長は、自ら読売新聞の社説で自民、民主両党の大連立を提唱し続けている熱心な政界再編論者である。
町村官房長官も記者会見で大連立構想の一人歩きを牽制、公明党も北側一雄幹事長が記者会見で大連立について強い不快感を表明する。疑心暗鬼の公明党に対して森元首相は、自民党本部で細田博之幹事長代理に、公明党との連立を維持する、大連立構想には乗らないなどで福田首相に譲らないように提言し承諾を得たことを伝える。
民主党も「次の内閣」の会合で大連立が話し合われたのではないかと質問が出るが小沢代表はこれを否定、正副幹事長会議でも「昨日の党首会談の内容を教えろ」と声が上がるが、鳩山由紀夫幹事長も内容を知らず困惑する。

11月1日、小沢一郎民主党代表は宇都宮市内のホテルの記者会見で、民主党が政権に参加する大連立構想について、「考えていない。衆院の解散・総選挙に向けて過半数を取ることが当面の最大の目標だ」と否定し、さらに前回の党首会談の内容について、「大部分が首相からのテロ対策特別措置法のお願いだ。解散や連立とか、政局論的な政治問題は一切なかった」と改めて語った。
もう一つ注目を集めはじめたのが、国際的な平和活動のために自衛隊の海外派遣を可能にする恒久法の制定である。小沢代表は記者会見で、国際貢献や平和の維持確保のための基本法は年来の主張だと述べた。実際に小沢氏は旧自由党時代から安全保障基本法案として自衛隊派遣の恒久法を練っている。これを受け、同日、町村信孝官房長官が恒久法の制定に言及したことで、福田首相と小沢代表の2回目の党首会談で取り上げられる可能性がにわかに浮上する。

2回目の党首会談の前にメディアは情報を集めようとするが、先の会談後に両氏に緊張感がなかったことから推察される「年内の解散総選挙は遠のいた」程度の情報しか得られない。山崎拓元幹事長、二階俊博総務会長、谷垣禎一政調会長からも具体的な話は聞けず、伊吹幹事長の「自民、民主両党の政策の違いから大連立は難しい」という見解や、民主党の山岡賢次国会対策委員長の「結果にかかわらず、民主党の方針は変えない」いうコメントが伝わる程度でしかなかった。

初めから大連立だった

11月2日午後3時、2回目の党首会談がはじまる。会議は約1時間10分行われた後中断。午後6時過ぎに再会しさらに1時間行われ午後8時前に終了した。

会談後、与党幹部が記者団に「連立と恒久法制定について話をしたと報告を受けた」と語り、大連立は「今は向こうが持ち帰ってる段階だ」と明らかにする。
午後9時前、福田首相は記者団に連立政権の協議について、「国政を進めるための体制の必要性を前提に、政策実現のための新体制をつくることについて話した」、「小沢代表の持論の恒久法を国連の決議や承認した活動を原則に進めていくことを話し合った」、「民主党からの入閣については話し合っていない」、「小沢氏が党内で協議するために持ち帰った」と説明し、30日の党首会談も連立を念頭においていたこと、大連立の構想が参院選で惨敗したときにスタートしたことを明らかにする。大連立構想は森氏、中川氏、青木幹雄前参院議員会長の3人が安倍前首相の退陣と福田政権の樹立を前提に考えられたものだったという。

その日、森朗元首相は、埼玉県深谷市の講演で自ら大連立のための会談を勧めたことを認める。中曽根氏もテレビ番組の収録で「小沢氏は思い切って大連立に踏み切るべきだ。国政に首相と小沢氏の2人が責任を持て」と強く後押しをし、読売新聞グループ会長の渡辺恒雄氏も「大連立は早ければ早いほうがいい」と持論を展開する。中川直元幹事長も「大連立は衆参分断政府の状態のもとでは当然だ」と推進への意欲を語った。

一方、福田首相の提案を持ち帰った小沢代表は、党役員会を開いて対応を協議する。しかし「2大政党が国民の期待」「政策協議に入ること自体反対」などの慎重意見、反対意見が噴出し、連立協議に賛成した役員はいなかった。民主党は協議に応じない方針を決め、小沢代表は首相に「連立はのめない」と正式に伝えた。
「大連立」によって政局の混迷を打開しようとしたを図る福田首相の試みは失敗に終わり、政権交代を目標に進んできた民主党内で、協議に乗りかけた小沢代表の立場は不安定なものとなる。

自民党内でも2日の党首会談に先立ち、町村信孝官房長官が、連立政権協議が議題となると個別に回った自民党各派の領袖に話したところ、山崎拓前副総裁、谷垣禎一政調会長、津島雄二元厚相らほとんどが連立に批判的だった。伊吹文明幹事長も政策の違いから大連立が難しいことを記者会見で述べる。結局連立に賛成したのは、二階俊博総務会長だけだった。
そして、大連立協議の仕掛け人の中心が、森喜朗元首相、中川秀直元幹事長で、中曽根康弘元首相、読売新聞グループ本社の渡辺恒雄会長兼主筆が強く後押ししたことが明らかになる。山崎前副総裁は、渡辺会長に大連立反対を電話で伝え激怒されたという。

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